|
テーマ:本日の1冊(3696)
カテゴリ:本
真っ当に本の紹介を書いたのはほんとに久しぶりだ。
実は8月末に仕事辞めちゃって、今は休養期間。 いつ復帰するのか未定だけど、ちょっとずつリハビリ中である。 というわけで、本の紹介。 いまさらという感もある『ルナティックス』なのだが、まあ、リハビリだから このぐらいがちょうどいい。 もともとお月様好き・月球派な私である。最初の一歩はルナティックに(笑)。 しばらく、月関連を「月棚」として続けていく予定なり。 では、「月棚」の開始です。 ------------------------------------------------------------------------- -ルナティックであろうとすることは、世の中からの誤解を恐れずに、月光りんりん、 断乎として非生産的な夜陰の思索に耽けるということなのである。- 松岡正剛 月にはたくさんヒミツがある。 そして、自分で光らずに、太陽の反射だけで輝くっていう、 なんともいえない奥ゆかしさが、いい。 朧で冷徹、薄明かりでトリッキー。 ヒトは昔から何かを月に見立て、月に物語を感じてきた。 書物というメディアを通して月のプロフィールを、しばらく語っていきたいと思う。 月のことで一番気になるのが、その見た目の大きさだ。 同じ満月でも三日月でも、「今日の月はでっかいよなあ」と思うことってよくある。 しかし。実際の月の大きさは変わるわけもなく、なんで大きく見えるのか、 現代科学においてもそれは未解決らしい。 ちなみに、これをムーン・イリュージョンという。 ヒトが直立歩行した原因に、月が関係しているという学者もいる。 60年代に大陸書房からの出版で、超能力や六次元で名を馳せた津島秀彦氏だ。 どういう説かというと。 今でも月は地球から年に約3センチずつ遠ざかっている。つまり、大昔はもっと 月は大きく見えたのだ。月が地球を回るスピードもめちゃくちゃ速かった。 で、原始のヒト、というかヒトザルは、月が急に遠ざかっていることにびっくりして、 思わずあっと立ち上がってしまった...というのが津島氏の仮説である。 木から下りて両手を自由にして直立歩行した、なんていうアカデミックな説より、 ぐっときてしまうのは私だけだろうか。 こんな話が続々と登場するのが、松岡正剛の『ルナティックス-月を遊学する』という本だ。 こんな話だけではない。月読命からイシスやアピス、稲垣足穂にエリアーデ、宮沢賢治、 夢野久作、蕪村、マンディアルグ、カルヴィーノ、まりの・るうにい、芳年にデルヴォー その他諸々、神話、文学、美術、科学など変幻自在に世界の「月究派」を渉猟している。 数多い図版と月の神々を一同に集めた「月神譜」もすばらしい。 月の文化、月の知を極めたこの1冊、読んだ後に見る月は、いつもと違う色艶をまとうはず。 ●『ルナティックス-月を遊学する』 松岡正剛 作品社 1993 ルナティックス ●『ルナティックス-月を遊学する』 松岡正剛 中公文庫 2005 ルナティックス 作品社版の単行本の方が図版が多くて、よりゴージャス。 文庫版にはあとがきが追加されており、個人的にはルナティックな一派の台頭を願う一文に拍手。 冒頭に挙げたのがその一部だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[本] カテゴリの最新記事
|