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UNA5951

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2008年09月30日
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テーマ:本日の1冊(3693)
カテゴリ:
9/28は、かぼすさんのところでほっこり。
9/29は、hitukiさんのところで、新月ワーク。
お久しぶりの方々、初めましての方々、たくさんの人に出会えて、満腹な日々です。
あまりのふくふく感のせいか、今日はちょっと熱出しちゃった(知恵熱だな)。
色んな罠(自分の選択なのだが)に、まだまだ軽~くひっかかってしまうことに、
しかもその場では全然気付いてなかったことに、今更気付いたりもした微熱トランスな
一日でした。
しかーし、もうちょっと違うトランスで行くぞう。
忘我で没我で、耽溺なのだ。

というわけで、無事に復帰したので、月棚4夜目です。

---------------------------------------------------------------
-欠けては満ち、死してはまたよみがえる月の姿こそ、原初の人類の
不死へのあこがれと固く結びついたのであった- 石田英一郎


本書のタイトルは『桃太郎の母』。一体、月と何か関係あるのか?と
疑問に思われる方も多かろう。
本書には『月と不死』という論文も併録されているので、月棚としては
そちらがメインといえばメインなのだが、これが「桃太郎の母」へと
繋がっていく。ここが本書の醍醐味ともいえる。
もちろん、「母」という女性性が出てきているので、そこに月とのリンクが
あっても不思議ではない。しかし、その女性性の深いこと深いこと。

『月と不死』は、ロシアの民俗学者ニコライ・ネフスキーに捧げられている。
ネフスキーには同じく『月と不死』という論文があるのだが、若かりし頃に
交流のあったネフスキーに対するリスペクトになっている。
ネフスキーの『月と不死』では、月読命と不死、富士がテーマとなっている。

石田英一郎の『月と不死』では、『万葉集』に見える変若水(おちみず)の
解釈から始まり、月の斑点をどう見るか、日本を含めて各国の俗信から
月が抱くモチーフを浮かび上がらせていく。
冒頭に挙げた一文の通り、月の満ち欠けは、生と死、再生、よみがえり、
そして不死と結びつく。また、月は水とも深い関係を持っている。
その源ははっきりしていないようなのだが、世界各地の伝承に、水汲みを
キーにした月と人の物語が数多く残っている。
水汲みをしていた男が、楽ちんそうに見える月に向かって不平を言って、
その瞬間に月にさらわれてしまい、天秤棒に桶をつけたままの姿で月に
居るとか。同じように水汲み中の娘が愚痴をこぼしたら、月にさらわれた
とか。これが月の斑点が何に見えるかというところに繋がっていくわけだ。

日本では、月と水の関係は変若水に見て取れる。
これは、中国の嫦娥(じょうが)伝説が背景にあるという。嫦娥は夫から
盗んだ不死の薬を持って月へ逃げ、それから月には不死の薬があるという
伝説から、月の水=不死の水→変若水という流れができたようだ。
薬→水という変換がいまいち理解できないのだが、まあとにかく、
水も月と大いに関係があるということだ。
個人的には、潮の干満との繋がりで水がリンクしてきたのかもしれないなとも思う。
ミルチャ・エリアーデの著作に「月と月の神秘学」「水と水のシンボリズム」
というのがあって、ここにヒントがありそうなのだが、未読である。

もう一つ、重要なモチーフが蛇である。蛇の脱皮と月の満ち欠けは「再生」
繋がりなのだ。
世界各地の俗信の中に、月から人間が不死の力をもらうはずが、騙されたり、
錯誤があったりして、人間はそれを得ることができず、蛇がその力を持つ、
というパターンが数多くあるようだ。不死はムリだから、せめて若返りする
力をあげようということで、いわゆる若水を代わりに貰う、というパターンも
あるらしい。

そこで、表題の「桃太郎の母」。ここでは、桃太郎や一寸法師、瓜子姫
といった昔話の中に潜む、大地母神信仰にスポットを当てている。
桃太郎や一寸法師など柳田国男の言う「小サ子」は、古くはスクナヒコナ
という神様を原型に持つ。さらにその「小サ子」には、水や蛇という
モチーフが共通しているという。
では、その「小サ子」の母とは一体何か?そういうところに思考が及ぶ
著者にびっくりだ。普通、あんまり考えないだろう。
昔話では、主人公の父や母の情報は多く提供されない。おじいさん、おばあさん
として、主人公の育ての親として現われるだけだ。
スクナヒコナは国造りの後、常世の国へ帰る。常世の国にその母がいるはずだ。
けれどもそれは語られない。
石田英一郎は「小サ子」の背後にそっと顔を覗かせる「母」を追いかけていく。
その母には、処女懐胎、人柱、わだつみの女人国、母子相姦などの神話や伝承が
もれなくついてくる。
女性性がこうもばっちり登場すると、月は無関係ではいられない。

こういうリンクのされ方って、まさに人の頭の中にある言葉のネットワーク
そのままだ。直線的でもあるのだけれど、複層的で、相互関連性が強く、
一つ引き出せば、次々と別のものが姿を現す。
月にはやっぱり秘密が多い。



●『桃太郎の母』 石田英一郎 講談社学術文庫 2007


●『月と不死』 ニコライ・ネフスキー 東洋文庫 平凡社 1977


●『月と不死 OD版』 ニコライ・ネフスキー ワイド版東洋文庫 2003


●『エリアーデ著作集 第2巻』 ミルチャ・エリアーデ せりか書房 1974




変若水についての概略はWIKIをどうぞ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%89%E8%8B%A5%E6%B0%B4






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最終更新日  2008年10月01日 05時02分44秒
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