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おいろーぱ野郎

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2005.12.11
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カテゴリ:die Schrift
 ミュンヘン市中央を囲う環状線MittelererRingを3時方向から12時に進むと、右手にエンジンのシリンダーを模した円柱型のBMW本社ビルが見えてくる。そのまま数分走ればワイヤー吊りの天幕が印象的なオリンピック公園の一角が左手に姿を現す。道路を挟む反対側はドイツ標準で言えば大きい部類に入るモールがある。そのモールを含む一角は、1972年のミュンヘンオリンピック開催時に選手村として利用されていた集合住宅であると聞く。

 南ドイツに来たばかりの頃、住居を決めあぐねていた時に、治安の良いことで知られるミュンヘン市周辺にもできれば避けたい場所があると伝え聞いた。例えば日本の「ニュータウン」団地の類にみられる高層階コンクリート造りの建物が並ぶPerlachと言われる地域、そして、この旧選手村の一角である。
 偏見なのか事実なのかは知らないが、当時の同僚Mによれば、後者はオリンピック閉幕後に格安の分譲住宅として売りに出され、主に移民やブルーカラーなど低所得者層の居住地になったらしい。
 格安に分譲された理由は、邪推だが、人気の無さから生じたのだろう。そしてそれは、オリンピック開催当時のあの事件に起因するのかも知れない。

 週末、パンを買うのに立ち寄ったインド人系雑貨屋で、ふとTimeMagazineの表紙に目が留まった。12月12日付けのその号はSteven Spielberg監督の新作映画に関する独占インタビューが目玉らしい。
 表紙の約75%を占める黒いタートルネックのSpielbergの右上に、モノトーンの写真のようなものが見え、目開き帽を被った人間の姿が映っている。新作映画の題名は、"Munich"だ。

 1972年、ミュンヘンオリンピック開催式に臨んだイスラエル選手団は、彼らとその同胞にとって根深い因縁の西ドイツに何を感じただろう。そして、選手達それぞれの資質を世界が注視するなかで発揮させられる機会が訪れるこの場所で、それが叶わぬ結果に終わるなどとは到底想像できなかったのではないか。

 Time誌で引用された"StrikingBack"という本件の調査本に事件の大枠が次のように抜粋されている:
 9月5日午前4時10分。警備の甘いオリンピック選手村に、銃で武装した8人の男達が侵入し、11人のイスラエル選手とコーチ及び審判を拘束、うち2名を殺害。
 「黒い9月」を名乗るテロリスト達は人質の命と引き換えにイスラエルに投獄されている(パレスチナ人)234名の解放を要求し、イスラエル政府はこれを却下。しかし西ドイツ政府は時間稼ぎの為に交渉を継続。テロリストのリーダーは人質と共にCairo行きを要求。西ドイツ政府は2台のヘリコプタで全員をFuerstenfeldbruch軍用空港に移送する。
 テロリストのリーダーは用意されたボーイング727内部は離陸準備もできていないもぬけの殻であることに気付きヘリに戻るが、西ドイツ政府側の狙撃に遭う。1時間の膠着状態の後、4台の装甲された警察車が到着したことを契機に、テロリストはヘリに手榴弾を投げ込み人質全員を殺傷。
 事件発生から23時間後、メディアから人質無事救出との報を受けていたイスラエル首相GoldaMeirは自国諜報機関モサドの代表ZviZamirからその知らせが誤りだと聞かされる。
 結果、3人のテロリストが生き残り 拘束されたが、そのニヶ月後にハイジャックに遭ったLufthansa機の乗客解放と交換条件で解放された。
 後にMeir首相は、一部のMediaから「神の怒り」部隊と仇名されるカウンターテロリストTeamに、Munichの悪夢に携ったテロリスト達の暗殺を指令する。

 Time誌にはストーリーの概要すら十分に語られていないが 映画”Munich"はその復讐部隊メンバを主人公に据え、「目標」の追跡とその行為に伴う主人公達の葛藤を描いた作品らしい。

 自らのルーツに触れる作品 "シンドラーのリスト"を世に出したSpielbergだが、"Munich"のテーマはいまなお進行形の民族紛争であるためか、自分には重すぎる(=他に妥当な人がいるだろう)として撮るのを放棄し続けてきた。
 やがて納得のいく脚本と脚本家からの強いアプローチを受け合意、異例だが撮影現場で脚本家と十分に話し合いをしながらの作品作りとなったと書かれている。撮影は情報のリークを最小限にするために短期間(3ヶ月)で行われ、脚本を通しで見せられている役者は数名しかいないそうだ。

 本文記事とインタビューの中にあらわれる下記の叙述が"Munich"の狙いをおぼろげに現している;
/この作品には悪魔的な人たちは出てこない。家庭を持つ普通の人間達しか登場しないように意図している。
/フィクションも所々に挿入した。その最たるものは、テロの首謀者と暗殺者のリーダーとが話し合いを持つシーンで、このシーンこそが自分と脚本家がこの作品の核心に据えているものだ。このシーンなくしてこの作品はありえなかった。
/先の見えないアラブとユダヤの殺戮について、最大の問題は、両者に存在する不寛容にある。対話こそが問題を解決する拠り所だ。
/パレスチナとイスラエルの子供達にそれぞれ125台のvideoカメラを渡して普段の生活を撮ってもらう事を個人的に企画している。家庭での生活、好きなCDや食べ物、学校のことなど、身近な事柄を撮影し、videoを交換する。それはお互いがそう違わないことを知る上で効果的だと思うんだ。

 12月23日の封切り前に、早速LAのイスラエル総領事館からクレームがついた。「モサドとテロリストをモラル上 同列に扱い、誤った世界観に基づく表面的なメッセージを聴衆に与えている問題作品だ。」

 このように意見する人々はSpielberg達の想定範囲内にいるノイズに過ぎない。憎しみの波紋の後を行く復讐者が、その憎しみをもたらした鬼畜達よりも非難されるのは不当であるにせよ、カウンターテロリズムが所詮テロの変種に過ぎない事を正当化すべきでなかろう。

 USの或るコラムニストはこう書いた。「現実の世界は単に軍事力の多寡に左右されるものだ。また、テロリストが普通の人間であるという認識を誤用してはならない。例えばHitlerは家庭があり、彼を愛する女性があり、彼自身動物を愛した。そして自分の母親にも愛されたはずだ。だからといって彼のした事を普通の人間の所業ととらえて良いはずが無い。悪魔的なものは確固として存在するのだ。悪に同情する事自体、悪なのだ。」

 人にはそれぞれ考えがある。

 先のSpielbergの個人的企画がいかにも子供っぽいアプローチであるのは自明なのだが、彼の主張は、死者が生者に意見し続けるのは誤りだという点、そして、対話を通じた妥協こそが困難打破の糸口になると言う点にある。
 その意味で、彼の意図する事や、悪魔達を普通の人間に敢えて落とし込んだ"Munich"の向かう先が、今この世に生きている人々が全て死に絶えた未来を目指していると想像するのは困難だろうか。今日生れ落ちた赤子に比べれば、我々は既に死者かもしれないのだ。

 たとえ目的地に到達できずとも、その矢が風を切る音に気付き、自らも矢を放とうとする射手がどこかにいるかもしれない。やがて空を行く矢がかすかな一群れとなり、奇蹟的にそれらの一本が的の端に少しでも食い込む日が来るのかもしれない。"Spielberg"という存在に影響力が欠落していれば、勿論、全てはただの妄想に過ぎない。
 既成概念に捕われた今を生きる人々にとり、虚構の塊であるファンタジーは理解不能かも知れない。だからといって、Spielbergという名の、現代に大きな居場所を構える少年の心が成し得る僅かな可能性を頭から否定することは野蛮だ。それを「ファンタジー映画の撮りすぎ」といなすのも、数多ある考えの一つではあるにせよ。


*** 補足 ***

Munich 









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Last updated  2005.12.24 10:27:43
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