リリースの名のもとに
疑問に思ったこと。「遺棄」の定義があいまいなこと。犬やネコなど、ペットの遺棄は、動物愛護法によって禁じられていて、罰金刑になっているけれど。飼育していたペットを棄てる行為は犯罪だ。知らない人も多いようだけど。「TNR」という活動がある。捕まえて、不妊手術して、元居た場所に戻すこと。大抵、元居た場所に戻す「リリース」とか「リターン」と呼ばれる行為に物議がわく。TNRをしても、戻さないでくれ、という無責任なことを言い出す餌やりさんもいたりする。する側も、リリースという行為がいちばん胸が痛む。それが例えば危険な場所であったり、まだ幼い子であったり、あるいは高齢だったり、人に慣れているネコの場合、できることならなんとか保護できないだろうか、と悩み、苦しみ、迷いながら、やむをえずリリースするケースも 少なくないはずで。通常、TNRでは、捕まえて、病院へ搬送して手術して、お迎えに行ってリリース、というパターンなので、かかる日数は2~3日程度。例えば怪我の治療などが発生して、若干長引いてもせいぜい1~2週間の保護期間を経てのリリースとか。私などは、リリースが苦手で苦手で、胃痙攣が起きそうに苦手なのだけど、その後も自分でなんとかご飯を与えられる確実性があればまだ救われる。なので、我が家の回りのネコは片っ端からTNRした。ちび銀ちゃんも、たーちゃんも、しろちゃんも、へいちゃんもさんちゃんも、それ以外にも、リリース後に姿を見せなくなった多数の子達も。たーちゃんやちび銀ちゃん、しろちゃんは、ずっとうちにご飯を食べに通ってくれた子達。いつかは保護を…と思っていて、タイミングがあり保護に至った。銀ちゃんは、あまりにもひどい状態だったため、看取り覚悟で保護をし、うちの子になってから手術した。へいちゃんとさんちゃんは、リリースに至らなかったケース。さんちゃんは状態が悪く、へいちゃんは捨てネコかと思って里親募集する予定が、思いがけず恐ろしく狂暴だったという見当違いもあったりして。むーちゃんとまーちゃんも、ご存じ多頭現場のTNRで、健康状態が悪すぎてリリースできず保護した子達。本来、保護は視野にないTNRの中で、保護せざるをえないケースも出てくるわけで、こればっかりはなんとも言えないのだけれど。一方、子猫のときに保護した子達は、保護イコールうちの子にする、あるいは里親を探すという選択肢しかない。手術できるほどの大きさでなかったり、リリースするにはありえない幼さだったり。小梅ちゃんやジーナのように、障害のある子猫も保護の選択肢しかない。もちろん、私がなんでもかんでも保護するとか、ネコを見れば連れて帰るとか、ネコ集めが趣味とか、そんなことではない。好きで保護してるわけでもないし、保護活動をしているボランティアでもなんでもない。保護をするということは、自分の生活を多大に犠牲にすることになる。浅い限界がある、とても浅い限界が。ただ私の場合、一度保護してしまうと、なかなか手離せなくなるタチのようで、里親募集に至らない。それもまたジレンマ。一般的に、リリースと、遺棄の定義がどうなっているのか、私は知らない。リリースと遺棄は明らかに違うはずだけど、最近、リリースの名のもとに遺棄をしてしまう人がいるんじゃないかと若干 疑問が浮上している。例えば子猫を保護して、数ヵ月にわたり飼育して、ばっちり人慣れもさせて、不妊手術も済ませて、子猫がだいぶ大きくなった頃、やっぱりうちでは飼えないからリリースしよう、というのは私は遺棄にあたると思う。それは果たしてリリースなの?仮に、里親募集をするのであれば、子猫がそんなに大きくなる前に、小さいうちにした方が、はるかに里親は見つかりやすいだろうし。それは果たしてリリースと言えるのかな?元々居た場所に戻すだけ、というにしては、飼育期間が長引いたら、それは、そこに、責任というものが生じるのではないかな。愛情も、わくのではないかな。私ならもう、手離すことなどできないし、どうしても飼えない状況になったのなら、頑張って頑張って里親を探して、そこに「リリース」という選択肢はまったく無いのだけれど。へいちゃんは大人のネコで、あまりにも人慣れできず、1ヶ月以上に渡る保護の結果、リリースの選択肢をすすめられたものの、私にはそれはなかった。なぜならもうすでに1ヶ月以上室内で飼育したものを、今さらリリースするのは遺棄にあたると思ったから。保護か、リリースか、それを決めるなら短期間で決断しなければ、無駄にネコの感情をもてあそぶことになると思うから。リリースの名のもとに遺棄をする、、、それは、する人にはそれなりの言い分があるのだと思うし、悪気はないのだろうけど、元々居た場所に戻すのが何がいけないの?と思うのだろうけど、それがまかり通ったら、何をもって「遺棄」とするのかがわからなくなる。とはいえ、何日以上室内で飼育したら遺棄にあたるとか、リリースするなら何日以内とか、そんな定義はどこにもない。遺棄の罪が問われない日本。法律はあるものの、まったく機能していないこの国のあいまいなルールで、人の都合で命が翻弄され続ける。個人個人の感覚や都合が優先されるなら、遺棄もリリースもどこで線引きできるのかわからない。TNRのR、これがいつも曲者だ。私が嫌いなRの作業、かといって、みんながすべてを保護できるわけでもないし、どうしたものやらね。Rの前に考えなくてはならないのは、本当に飼育できないか?里親は探せないか?R後にきちんと生きていけるか?この自問自答は、必須だと思うのだ。みんなの正義も、みんなの思想も、みんな違うけど、自分都合ではなく、命最優先で考えなくてはならない問題だと私は思うのでありんすよ。リリースという名のもとの遺棄があっては、絶対にダメだと思うのでありんすよ。。。ぁあ 切ない。私の願いは、外で危険にさらされながら生きる ノラネコという生き方がなくなって、みんな、誰かの愛する家族であること。ネコは、おうちの中で、ぬくぬくと幸せにのんびり暮らすこと。ノラネコのいない社会が、いつか当たり前になりますように。