ゴルフと親父ギャグ
プロゴルファーはともかく、お父さんたちがやるゴルフは真剣でありつつも、どこかのんびりである。賞金もかかっていないし、目的が親睦だったりと遊びなので、緩くなることは致し方ない。ただし、取引先が集まるコンペなどは少し緊張感もある。順位がつく上に、商品も出るので少しでも上位になりたいと思うのである。 さて、親父同士でゴルフをするとミスショットがしょっちゅう出る。プロの様に狙いからやや外れたミスショットではなく、見た瞬間に「あーあ」と声が出そうになるミスショットである。 ゴルフはお互いのショットの結果に掛け声をかけるのがマナーである。良いショットを打てば、「ナイスショット」と声をかけるし、グリーンに乗れば「ナイスオン」、パットが決まれば「ナイスイン、ナイスパー、ナイスバーディー」などである。 しかしながら、ミスショットに無言でいるのも空気が悪くなるので、ギャグにしてその場を和やかにするのがゴルフ専用の親父ギャグである。 ティーショットでチョロといって、チョコッとしかとばないミスショットをすると、だいたい「ナイスちょっと」という掛け声がかかる。ベトナムでテンプラという高々とフライが上がるようなショットを打つと、「ベトナムエアライン」という声がかかる。日本では「銀座の天ぷら」という掛け声もあるらしい。銀座の天ぷらは値段が高いということから来ているらしい。 バンカーにショットが入ると「いやんバンカー」という声が聞こえるし、グリーンに乗らないギリギリにボールが止まると「あわやのりこ」という声が聞こえてくる。お約束の言葉である。 大きくダフって、地面を掘り返すようなショットをすると「モグラ殺し」とか「ミミズ殺し」と言われる。 この他にもバンカーから大きくボールが飛び出してグリーンを越えて飛んでいくと「ホームラン」、何度もバンカーから出せないと「砂遊び」と言われる。 ちなみにゴルフ中はこのようなショットやパットに関すること以外も、親父ギャグのオンパレーである。みんなそれほど調子よくスコアをまとめられないので、気晴らしにバカ話だったり親父ギャグを連発して1ラウンドを過ごす。 20代ぐらいの若い人も、若い女性も、親父ゴルフに参加すると意外と雰囲気に飲み込まれてくだらないギャグを連発するようになる。 素人のアマチュアゴルファーのゴルフは、プロの世界と違って、ゆるくゆるく進んでいく。もちろんお父さんもすっかり親父ゴルフの世界に溶け込んでいる。