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じゅびあの徒然日記

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2007年07月07日
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カテゴリ:うつ病
職場、企業のメンタルヘルスが取り上げられる時代になってきた。
それ自体は悪いこととは思わないが、実情はメンタルヘルス(心の健康)とはほど遠い。

ある日、一人の男性が初診でやって来た。
3年ほど前に、配置転換して、それまでの10年間と全く違う仕事をするようになった。
自分には、それは向かないと感じ、会社にも訴えてみたが、人事の関係で異動は認められなかった。
最初から、その仕事はうまくいかなかった。
人を取りまとめるという仕事はとてもストレスフルで、コツコツと一人で物に向き合う仕事のほうが、やりやすかった。
毎日出勤してもすぐに仕事をする気にはなれず、外で一服してから机に座った。
勤務中にも、何度かトイレに入ったり、コーヒーを飲んだり、一服したり、5~10分の気分転換を入れないと仕事ができなかった。
ある日、上司や外の人間を集めてプレゼンテーションをすることになっていたが、製品がうまく動かず、発表は翌日に持ち越された。
翌日出勤はしたものの、トイレから出られなくなり、自分のデスクではなく、保健管理センターに行った。
保健管理センターで相談すると、言われた。
「○○病院へ行って、診断書をもらい、休む手続きを取りなさい」
早速初診で来た。今日から仕事に行かなくてもよい、と思うととても気が楽になった。
さあ、診断書を書いてください。

業務中に、短時間の気分転換を図るのはとてもいいことです。
そういう工夫は是非してください。
確かに昨日行きたくなかったのは分かりますが、いきなり休職とは、どうでしょう。
もう少し様子を見たらいかがでしょう。
もし、職務があなたにとって不適切なら、「職務内容の再考が望ましい」など、診断書を書くことも出来ますよ。
その上で、会社と話し合ってみたらいかがでしょう?
私は答えた。
これは彼にとって非常に不満な回答だったらしい。

「あんたが書いた診断書で、会社が何もしてくれなかったらどうするんだ」と彼は憤った。

「休職して楽になっても、今の現場に復帰すれば元通りになってしまいますよ。会社は私が休職と書いたら休ませると言っているのだから、私が職務内容の再検討を、と書けばやってくれるかもしれません。今の時点で会社がしてくれなかったら、と考えてもどうしようもないですが、こういうことは、会社と協力していかなくては、解決しません。」

「いや、あなたのような人に、診断書など書いてもらいたくない。僕は来るところを間違えたようだ。あなた名前はなんていうんです?じゃああなたは僕がうつ病ではないというんですね。」

「いえ、ただもう少し焦らず様子を見たら、と申し上げているだけです。名前はじゅびあといいますよ」

「わかりました。もういいですか」彼はスタスタと診察室を出て行った。

また苦情でも投書されるかしら。それとも向こうの会社から院長宛に、クレームか。
もう、どうでもいいけどね。

以前、2日ほど風邪をひいて休んだだけで、校長に「普通は休まないものだ。精神科へかかってこい」と言われてバカ正直にやって来た先生がいた。
確かに活気がなくて、生徒の扱いに困って、追い詰められている先生ではあった。
なんとなく、休職から退職へ追いやりたい、学校側の思惑を背後に感じた。
その先生には、一度は「それほどではないと思いますよ」と帰ってもらい、改めて学校のない土曜日に検査結果を知らせるから、またおいで、と伝えた。
校長には「医者から、休むほどひどくないと言われた」と言うよう指示。
こういう人に最初から「病気ですよ」と薬を出すと、正直に言ってしまうからである。
そして、学校を休む必要のない土曜日に、定期的に受診してもらい、抗うつ薬を投与した。
通院しているとか、薬をのんでいるとか、プライバシーだから校長に報告する義務はないのですよ、と告げた。
とにかく、数週間、生徒をコントロールできなくてもいいから、テキトーに、ボーっと出ておきなさい、とも話した。
1ヶ月ほどして薬の効果が出てきたが、彼は1日たりとも学校を休まなくて済んだ。
今は、問題なく業務をこなしている。生徒に振り回されることもなくなった。

職場のメンタルヘルスが叫ばれるようになったけれど、やっていることは、よく言えば「病気の社員を早く発見し、早めに受診させ、必要ならば早めに休職させること」。
これ自体は間違いではない。
だが、企業の本音は、早めに医療機関に丸投げして、自分たちは責任回避。
会社にすんなり適応できない社員を、どうやったらうまくやっていけるようにするか、ということを会社の中で考える、という過程を捨てている。
いろいろ言ってきてうるさい適応の悪い社員を、「休ませて」医療機関へ厄介払いだ。





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最終更新日  2007年07月07日 22時57分40秒
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