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カテゴリ:気ままな話
遅くなったので、駅から久々にタクシー乗車。
出発地では雪がちらつく天気だったが、駅からの道、地面は乾いていた。 タクシーの運転手さんというのも、難しい。 あんまり黙っているのもムッツリしているようだし、喋りすぎる運転手、こっちのプライバシーに踏み込むようなことを尋ねてくる運転手も、苦痛だ。 特に自宅に帰る場合は、住んでいる場所が分かってしまうわけで。 適当な間とはっきりした言葉で、到着までの時間を見計らって当たり障りのない話題を振る。 美容師さんとの会話もこれに近いものがあるが、行きつけのサロンなら美容師とは面識がある。 タクシーのウンちゃんは、たまに同じ人と再会することこそあっても原則一期一会だ。 その日乗車したタクシーで、行き先を告げる。 なんとなくウンちゃんは無愛想でこわーい雰囲気。 まあ、過去には運転のヤバい乗務員、道を全然覚えない(私を家で降ろした後、どうやって通りに戻ればいいか分からないのだ!)乗務員に当たったこともあるから、それよりマシか。 「こっち地面、乾いてますね」とぽつんと私が言うと「はあ?」となんだか迷惑そうなウンちゃん。 やばかったかな。 「いや、新幹線に乗る前は、雪が降っていてね。今日は除雪作業でダイヤが乱れてました」 「○●から来たの?あっちは寒いよねえ」 「それほど遠いわけじゃないのに、えらい違いですよね」 「こっちも風は冷たいけれど、冷たいのと寒いのは違うんだよね」 「そうですね、あっちは、底冷えって言うんでしょうか。足元からジンジン冷える感じですね」 何の話をしたというわけでもない。 今日の天気と、出発地と到着地の気候の微妙な違いを話しただけだ。 間もなく目的地、という頃、運転手さんが言った。 「お客さん、ひょっとして、バーのカウンターとか、接客とかで話す仕事?」 「えっ?そんなことないですよ」 「すごく話の仕方が上手いんだよね。女の人ってのは井戸端会議とか、話好きな人が多いけれど、そういう感じの話し方じゃなくて、はっきりしてて分かりやすいんだよ。」 「バーのカウンターではないですけど、まあ、話すといえば、話しますねえ。」 「声がきれいってのも、得だよねえ」 ...どうも運転手さんはタクシー乗務員のくせに話下手なタイプだったようで、私のトークペースに乗せられたらしい。 ローテート時代、当直明け日勤→さらに宴会後、深夜に乗ったタクシーでクラブのおねーちゃんに間違われ、「儲かってるか」だのなんだの(バブルの名残があった頃!)セクハラめいて随分失礼な話だと腹を立てたこともあった(私は前夜の当直でほとんど寝られず、やや感情失禁状態だった)が、ひょっとしたら、そういうこと? 今なら、バーのマダム(凄い気配りと、日本語力と、インテリジェンスが必要だと思う!)に間違われるなんて光栄だと思えるけどね。 私はどこへ行っても、子どもを連れていてもよく「失礼ですが何をなさっている方ですか?こんなこと言ってはなんだけど、普通の主婦じゃない、って感じがした」と訊かれる。 一種のオーラみたいなものがあるらしい(かと言って、医者に見えるというわけでもなく、かなり得体が知れないようだ)。 このタクシーの運転手さんの指摘で初めて分かったのだが、それは私の話し方によるところが大きいんじゃないだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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