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カテゴリ:お薬の話
さて、私の処方した薬をのみもしないうちから「こんな薬で眠れるか」と怒鳴った男性。
その後音沙汰無いなと思っていたら、予約日にニコニコしながら診察室へ現れた。 まるで怒鳴りつけたことなんて、覚えていないみたいに別人の態度だ。 「何にも心配しなくていいから、これで寝てみてください、と先生のおっしゃったとおりだった。よく眠れてびっくりした。気分もよくなって、身体もすっかり正常です。食事も美味しくて、体重が2キロ増えてしまった。眠剤から抜けさせてもらって、本当に感謝しています。」 ...いや、それが私の内科医でなくて、精神科医たる所以なんだって。 9割方あれで眠れるはずと自信はあったが、それでも正直ほっとした。 しかししかし、「実はこの薬ものんでいました」と次々に出てくる、出てくる、別の医療機関の薬。 吐き気止めとか、胃薬とか、痛み止めとか、いずれも「吐き気が出ないうち」「痛くならないうち」からのんでいるわけ。 吐き気止めをもらっている医療機関で、調子がよくなったことを言ったら、「のんでものまなくてもいいんだけどね」と言って、同じ処方を出されたと言う。 「これは、吐き気が出てからのめばいいです...吐き気がないのにのんでも、何に効いているのか分かりません...」 男性は、眠れたことで私を信用してくださったようで、「分かりました、のむのを止めます」とあっさり薬をしまった。 「あなたは薬の依存症ですね。心理的な依存。のんでないと不安だからのむのでしょう?薬はのめばのむほどいいわけではありませんよ。こんなに医療機関に通って、忙しくて大変ですねえ。私の方では、1種類の薬だけまたちょこっと減らしておきますが、あとは同じです。眠れて落ち着いていれば、次は1ヶ月後でいいですよ。何かあったら予約を電話で変更して、早めて構いませんから。」 私も電話で怒鳴られたけれど、他の内科医療機関にもずっと同じようなことをしていたらしい。 「この薬では気持ちが悪いのが治らない。今すぐ行ってやるからな!」etc.って...あらら。 男性は、「随分内科の先生たちを困らせていたと思います...。あんなに言ったら、どこでも薬が増えちゃいますよね...」と頭を掻き掻き反省していた。 私は彼の不眠だけでなく、彼の受診していたあちこちの内科の先生たちの精神安定にも、ちょっぴり貢献できたかもしれなかった(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年10月02日 22時48分48秒
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