ユーザインターフェースとしての3Dインターネット
技術的な面だけを見れば、ここ15年ほどのインターネットアプリケーションの進化は、 ・ハイパーテキストの実現としてwebシステムが稼動し、 ・情報の双方向性向上のためにJAVA/AJAXが生まれた。そして今や3次元表現が実用化段階に入り、仮想世界として実現した。仮想世界での人間・経済活動といった社会的な要素は除いても、3次元処理の実用化は、ユーザインターフェースや表現手段としてSEに新たな選択肢を与えたと考えられる。ときどきぼくはパソコン上で表現できることの限界を感じることがある。Microsoft Office等のツールの機能向上のおかげで、頭の中のイメージを綺麗に具体化することは、かなり容易になった。しかし平面上に表現できることは、図や表やグラフが基本であり、それでは表現しにくいことがある。確定した結論を説明するときではない。データの海から傾向を探り出すような、試行錯誤段階のときだ。いろいろな評価軸を並べてみて、無理やり3軸グラフを作ってみたり、アニメーションにしてみたりする。3Dインターネットを使い、具体的なイメージに置き換えることで、文字通り「さまざまな角度から」数値データを見つめ、直感的に理解できる表現手段となるだろう。例えば、ネットワーク性能分析だ。大規模化し複雑化したネットワークのトラフィック量全体を把握するのは大変だ。現在定番のMRTGは、グラフとハイパーテキストを使った優れた表現手段である。しかしこれも、部分の積み重ねでしかなく、ひとつひとつのグラフは断片的だ。3Dインターネット技術を使い、ネットワーク結線を土管に、流れるトラフィックを水で表現してみる。VLANなどは土管の中に細い土管をたくさん通す。全体像を見たいときは上空から俯瞰する。細かく見たいときは、一つの土管に近づいて中を透視してみる。こうして、流れを可視化することで、傾向を把握・理解しやすくする。性能監視システムをつかえば、閾値を何段階か設定しておき、ワーニングを出すのは簡単だ。しかし、今の時点ではワーニングは出ていないが、中期的に次に手をいれないといけなさそうなところはどこか、想定外のトラフィックが発生しているところはないか、など閾値方式で見えなかったことがたくさんあるはず。現在は、スキルの高いSEが長い時間をかけて観察をし、膨大なデジタルデータの中で分析をしている。こうした3次元世界での可視化により、直感的にすばやい把握ができると期待できる。むろん、今現在でも性能分析システム製品は多数あり、それらを否定しているわけではない。表現手段の選択肢が増えたことが喜ばしい、ということである。お遊びの域をでないかもしれないが、膨大なデータの高精度なサマライズ手段として、今後期待したい。