10.願わくば桜の木の下で
啓太は叩かれた頬っぺたを押さえながら、「ファーストキス?!なのか」と、更に間抜けな顔で言った。「まじ!まじ?まじ?!」啓太はすんごく嬉しそうに質問を畳み掛けた。「まじで!」私はヤツの右頬もぺちっと叩いた。「じゃぁ、っさ。つぐみはどういう風にしたいんだよ」と、急に真顔で聞くから、「そうだなぁ~。やっぱ、桜の花びらが散る中で・・・っていいかもなぁ~~」なんて、言ってみた。「おい!待て!今、11月だぞ!5ヶ月も先じゃねーか!!」「それ位、待てよ。こっちなんて、17年も待ったんだから」私達はお互いに睨み合いながら、そして笑った。「よし。分かった。じゃ、4月桜の下でだな。すっげーキスしてやるからな!期待しろ!!」そう言うと、啓太は私のほっぺにキスをした。「まっ、まぁ。今はこれで我慢すべっ。うん」と、耳まで真っ赤になりながら、独り言を言った。私は「ばぁーか」と言うと、啓太の首に手を回し、唇にちょこんとキスをした。「桜が咲くまでなんて、私だって、待てないし・・・・・・」私は真っ赤になって啓太を上目遣いで見つめた。啓太は嬉しそうな顔で、「オレも・・・無理」と言うと、指で私の頬の輪郭をなぞり、私にとろけそうな位、優しいセカンドキスをしたんだ。