【相手よし、自分よし、世間よし】
【相手よし、自分よし、世間よし】 昔、近江商人が商売の心得としていたのが「三方よし」の精神です。 つまり、売り手よし、買い手よし、世間よし、という考え方です。 これを、商売という枠をはずして人間関係をうまくする心得に言い換えると、 相手よし、自分よし、世間よし、という言葉になります。 近江商人にこの仏法を説いたのは、蓮如という人物です。 蓮如は、親鸞聖人の入滅後、150年ほど経って生まれました。 当時、浄土真宗は衰退していましたが、蓮如によって再び勢いを取り戻した とされています。 この蓮如が、室町時代の商人に「自利利他」という仏法を説きました。 他人を幸せにする(利他)心を持つことで、自分も幸せになる(自利)。 キリスト教でいえば、「与えよ、さらば与えられん」という言葉になります。 とても興味深い話があります。 ある、医療関係の人の報告ですが、がんになり余命3ヶ月と宣告されてから 奇跡的にがんが治った患者さんたちには、共通したところがあるそうです。 まず、余命3ヶ月と宣告されて、それをどうにかして少しでも伸ばそう、1年 でもいい、半年でもいいから伸ばそう思って、治療を受ける人は3ヶ月前後で 亡くなってしまう確率が高いと言います。 しかし、どういうわけか奇跡的にがんが治った人たちは「残された3ヶ月を どう充実させて生きるか」という考え方だったというのです。 つまり、「病気をどうやって治そうか」、と病気で頭がいっぱいになるのでは なく、残された時間をどんなふうに使うのかを考えるのだそうです。 その結果、同じ境遇の人を励ましそう、あるいは今までお世話になった人たち のために役立つことはないか、という「誰かのために何かできること」を考え たと言います。 この心の持ち方の違いが、病気の治癒力の違いとなっているのでしょう。 自分のことよりも、相手のことを先に考えることが、結局自分が幸せになる という「自利利他」の精神です。 人間関係でもよく、「どうすれば、相手にわかってもらえるか」と悩むことが あります。 ただ、これはよく考えると、自分の気持ちを相手に押しつけているような形に なっています。 しかし、利他の精神で言うと、「どうすれば、相手をわかってあげられるか」 という考え方が本来のあり方です。 これが、相手よし、の考え方です。 商売の道と同じように、病気や人間関係でも大切なのは「三方よし」の精神 の中にあるようです。 (by ハートリンクス)