【大きなストレス・小さなストレス】
【大きなストレス・小さなストレス】 心療内科医・鴨下一郎氏の言葉から。《ストレスというのは、相対的なものです。 もちろん、大きなストレス、小さなストレスといったストレスの大きさもあ りますが、同時にそれを支えられる自分の力強さがどれくらいか、この二つ のバランスで成り立っています。 ですから、強い自我を持っている人から見れば、「なんでこんなことでめげ ちゃうのかなあ」というような小さなことでぐちゃっとつぶれてしまう人も いるし、歯をくいしばってにこやかに笑ってがんばっている人もいます。 同じストレスを受けても、受け止め方が違うのです。 すさまじいものを背負ってもがんばっている人には、ある種の自己犠牲と品 格を感じます。 身なりがきれいだとか、きれいなお化粧をしているということではなく、崇 高な美しさを感じるのです。 それが、ほっぺたにちょっとニキビが一個できただけで、人生終わりのよう に騒ぎたてて、「私ってこんなに不幸なのよ」と言い回る人だったら、あま り崇高には見えないでしょう。 世界が小さすぎるから、ストレスにやられやすい。 体はバーベルを持ってトレーニングをすれば筋肉がつきます。 ジョギングをすればスタミナがつきます。 けれども、心のスタミナをつけることをしていかないと、小さなストレスで もへとへとになってしまいます。 そして人生の悩みをすべて背負っているような気分で愚痴をこぼし、「そのく らい、たいしたことじゃないよ」といわれると、「私のたいへんさをわかって くれない」と、ますますストレスになってしまうわけです。 一方、さまざまなストレスに耐えてがんばった人は、晩年は感謝の気持ちで 幸せに毎日を送れるかもしれません。 自分の死も冷静に受け止められるかもしれません。 そういう意味において、最後は帳尻が合う。 人生全体で見れば帳尻が合うようになっていると思うのです。 小さなストレスをひとつずつ乗り越えていけば、大きなストレスが乗り越え られるようになる。 心のパワーがついてくれば、ストレスをパワーに変えていくことができるよ うになるのです。》 (出典元:鴨下一郎著「ストレスを右から左へ受け流す方法」大和書房) * * * 小さなストレスでも、受け止める心の力がない人にとってはつらい、と感じ ます。 このことを、著者は『ストレスの大きさは、その人の耐える力とのバランス で決まる』と述べています。 では、耐える力をどのようにして身につければよいのでしょうか? 私なりの考えですが、 「小さなストレスを一つずつ乗り越え、それを繰り返していくこと」 これに尽きるのではないかと思います。 繰り返していくことは、ときにつらさをともなうものです。 「また、ストレスが増えた、この頃やっとあの問題が片づいたのに……」 というようなものです。 ストレスになるような問題が起きるたびに、気持ちが削られていくように感 じてしまう。 すなわち、この「感じ方」を少し変えてみてはどうでしょう。 気持ちが削られていく、という方向に考えるのではなく、心の力がアップす る時期が来た、という方向に考えるのです。 ストレスをパワーに換えていけるかどうか、心の持ち方しだいのようです。 (by ハートリンクス)