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カテゴリ:本の感想
書籍の感想です。
今回は「ツナグ」です。 ツナグ (新潮文庫 新潮文庫) [ 辻村 深月 ] 辻村深月さんの作品です。 一生に一度だけ、死者と再会できるとしたら、誰と 会いたいですか? 一度この権利を使ってしまったら、今後二度と別の 死者と会うことはできません。 そんな不思議な仲介をしてくれる使者(使者と書いて 「ツナグ」と読む)を利用する人々の話です。 今の自分の生活に嫌気が指しているOLが指名したのは 4ヶ月前に急死したアイドル。生前、酔い潰れた時に 介抱してくれたことをきっかけに彼女を心の支えに していました。 そんな彼女が亡くなった。巷には自殺説も出ている。 彼女から何か(具体的にはわからないが)を得たくて 彼女が亡くなった真相を知りたくて、支えが欲しくて OLはアイドルと再会することを望む。 そして、ついに亡くなったはずの「推し」と話す ことになった彼女は何を得るのか・・・ 次の話は頑固な昔気質のオヤジが亡くなった母親と 会う話。オヤジが自分勝手過ぎてちょっとやな感じ。 そして3話がなかなか辛い話。 親友だと思っていた友だちに裏切られたと思い、ある 細工をする。その細工のせいかわからないが、親友は 自転車事故で死んでしまう。 罪悪感、そして、もし細工した事を彼女が知っていたら という焦り、謝りたい、真実を知りたいなどの 気持ちが入り混じりつつ、亡くなった親友との再会を 望む。 再開した彼女との会話。今日ひと晩だけここにいる 親友と、これからも生き続けないといけない彼女。 罪を洗いざらい話したらどんなに心が軽くなるだろう という誘惑に駆られながら、彼女は自分の中に留め、 罪に抱えて生きていくことを選ぶ。 しかし最後に親友から託された伝言は・・・ いやー、恐ろしいです。 しかし、この話はここだけで終わらず、ラストの話で ツナグ視点でここまでのエピソードを振り返るの ですが、その中である一言が決定的になったことが 明らかになります。 本人は軽い話題作りくらいのつもりだったのだと 思いますが、ここまでやるかという思いがあった のだと思います。 それが意趣返しみたいな行為につながるわけですね。 生者と死者は一瞬の邂逅を得たわけですが、 永遠の反目という結果になってしまいました。 とても含みのある良い小説でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.09.09 22:22:47
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