【書籍感想】あずかりやさん 彼女の青い鳥
書籍の感想です。今回は「あずかりやさん 彼女の青い鳥」です。あずかりやさん 彼女の青い鳥 (一般書 236) [ 大山 淳子 ]盲目の青年が営むちょっと変わったお店、「あずかりや」が舞台の小説です。一日100円でどんなものでも預かってくれるお店です。もし不要な場合は取りに行かなくても良くて、その場合はあすかりやさんが売るなり捨てるなりしてくれます。預ける理由は人それぞれ。まさに人生そのもののような真剣なものから勉強の邪魔になるから試験が終わるまでと軽く預けられた本まで。そんな預けものを店主の桐島さんは淡々としかし誠実に、そして大切に保管するのです。この小説の特徴的なところはそんな桐島さんの視点ではなく、お店においてある品物等の視点で進行するところです。例えば、小説の原稿、例えば、柱時計。彼らに感情があるとすれば確かにそんなこと考えていそう、なんていう独白が繰り広げられます。桐島さんと物たちは会話をするわけではありません。物たちは人間の会話を聞き、行動を見て、色々感想を言い募るわけですね〜半年分の料金(18,000円!)を払って手紙を預ける少女の覚悟はエピソードとしては短いものの非常に胸に迫るものがあります。不思議な魅力のある本です