カテゴリ:行動のポイント
帚木蓬生氏のお話です。
集中力など、あったりなかったり、一心不乱の境地も、1年に2度、3度あればいい、というのが、実際の私たちの心のあり方です。 だとすれば、集中力があろうが欠けていようが、構わず勉強や仕事に手を出すのが得策です。 手を出しているうちに、集中力が研ぎ澄まされてくるかもしれず、運が良ければ、一心不乱の境地を味わえるかもしれません。 (生きる力 森田正馬の15の提言 朝日新聞出版 164ページ) 私は訪問営業の仕事をしていた時に、どうせ冷たく断られるだろうという先入観でいっぱいになっていました。 人への信頼感が欠けている対人恐怖の私にとって大変な仕事でした。 私が考えていたことは以下の通りです。 見込み客をふるいにかけて、購入意欲の高い人に絞って営業活動をしようと考えました。 そうすれば自尊心を傷つけられることはなくなるだろう。 また、セールストークや技術を高めることが大切だと考えていました。 断られればこう切り返すというセールストークを習得したいと思っていたのです。 そのためにセールス技術の本は手あたり次第読みました。 身だしなみ、言葉の使い方、導入の話、相手のニーズの掴み方、ニーズと販売商品との関連付け、断わりを切り返す方法、購入を促す説得術などです。 しかし結果は惨憺たるものでした。 高い見込み客と思っていた人から断られると、その日の仕事に対する意欲がなくなりました。 営業というのは、監視されているわけではありませんので、次第に仕事をさぼるようになりました。 サボっても暇を持て余し、時間をつぶすのに苦労する有様です。 営業成績が上がらないので、上の人や同僚から冷たい目で見られました。 またセールス技術はある程度は役に立ちましたが、実際には理論どおりに当てはまることはありませんでした。 これは理論が完全でないからだと考えて、さらに理論武装を図ることを考えました。 これは森田でいうと精神交互作用でどんどん状況が悪くなっていきます。 今考えると、見込み客を選別するよりもローラー作戦を展開して、できるだけ多くの人に会うことが必要だったと思います。 またある程度のセールス技術を学習した後は、行動・実践の中でセールス技術を高めることが大切であると思います。 いくら畳の上でクロールの練習をしても泳げるようにはなりません。 失敗や断られるという経験から学ぶという姿勢はとても大事になります。 定年までこの仕事を続けた人の話を聞いてみると、ほとんどこの方法で成功した人たちでした。 私は不快な気分が湧き起こってくると、やすべきことや必要なことからいつも逃げてきました。 その時はほんの少しだけほっとしますが、人生の敗北者になってしまいました。 神経質者は行動は頭の中で納得してから取り組もう。 やる気が出てからにしよう。 そうしないと惨憺たる結果に終わってしまうと考えて、尻込みする傾向が強いと思います。 この考え方は、もっともらしい考えですが、状況はどんどん悪くなってしまいます。 イヤだ、面倒だ、しんどい、やる気が出ないという感情は池のなかを動き回る錦鯉のように自由に泳がせておく。 行動は気分とはきちんと切り離して、必要な時に必要に応じて必要な範囲で自分の出来ることを心がけて生活したいものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.01.29 06:20:07
コメント(0) | コメントを書く
[行動のポイント] カテゴリの最新記事
|
|