カテゴリ:不安の特徴と役割、欲望と不安の関係
曽野綾子さんのお話です。
動物園のライオンていうのは、いつもエサがあるからだらけきっちゃうんですって。動物園のライオンを長生きさせるにはどうするか。 人間が移動する車の通り道にエサをとる必要もなくて、ライオンがでれーっと寝てる。それをわざと轢こうとするんです。 もちろんライオンのほうがすばやいから、絶対轢かれたりしないんですよ。 どうしてそんなことをするかと言えば、それが唯一の健康を保つためのストレスなんですって。 そうでないと飼われているライオンには何ひとつストレスがない。 敵がいなくて、いつでもエサがある。 なんにもストレスがないっていうのは困ったことなんですね。 何か少しはストレスがあった方が身のためということでしょう。 (善人はなぜまわりの人を不幸にするのか 曽野綾子 祥伝社黄金文庫 191ページ) 森田では「不安は安心の為の用心である」と言います。 不安の存在は我々の生活になくてはならないものです。 不安が不必要なものならば、人類の進化の過程で淘汰されていたと思われます。 不安を毛嫌いしないで味方に引き入れることが大事になると思います。 不安と同様に適度なストレスもなくてはならないものです。 こんな逸話があります。 デンマークに毎年秋大きな集団を作って南方に飛び去る渡り鳥の野鴨がいた。 シーランド海岸に住む人たちが野鴨に親切心でエサを与えていた。 しばらくすると、野鴨のうちの幾羽かは南方へ飛び去ろうとしなくなった。 この人たちのエサをたよりにして、デンマークで越冬するようになったのだ。 だんだんこの野鴨たちは飛ぶことが少なくなってきた。 3~4年ののちには、この野鴨たちはすっかりだらしなくなり、飛ぶことさえむずかしいほど太ってしまった。野鴨はもはや野鴨とは言えなくなってしまった。 アヒル(家鴨)のように人から餌をもらうことで生き延びるしかなくなった。 鳥は1日の65%は餌捕りに費やすそうだ。 必死でエサを求めているから、より野鴨らしくなっていたのです。 人間もストレスから解放されて、自由を謳歌していると、最後には身体が弱り、脳が廃用性萎縮現象を起こしてしまいます。 適度なストレスを抱えながら、課題や問題解決のために、絶えず心身を動かし続けるということが大事になります。 (人間力をフリーズさせているものの正体 藤田英夫 シンポジオン 93ページ参照) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.08.21 07:47:44
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