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2007.03.23
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カテゴリ:言の葉
中村桂子氏講演会『「生きている」を見つめ「生きる」を考える』
を聴講してきた。


20年間ひとすじに生命科学の研究をされてきたが、
構造と機能を重視し役に立つことだけを見ている生命科学に疑問を持たれ、
JT生命誌研究館に移られて15年、
歴史と関係から生き物を見る生命誌を提唱されている。

20世紀は機械と火の時代だった。
21世紀は生命と水の時代にしたい。
生き物とは継続性・多様性・そして過程に意味がある。
     循環、組み合わせ、可塑性の中にある。
     機械の利便性とは対極にあるものである。

農業支援応援隊としても活動されている。
「農業高校の生徒さん達は素晴らしいです。
それは彼らが生き物を育てているからです。
生き物を育てる苦労と楽しさを知っているからです。
例えば豚を育てている学校を訪問したら、豚が私にも尻尾をふってくれるのですよ。
それほど豚は大事にされているんですね。
そして生徒さんたちはその豚が食用として育てられていることも、きちんと理解しているのですね。
その上で毎日大切に世話をしているのです。」
「それなのにこの国は、農業高校をつぶそうとしているのです。
そしてこの国の自給率は40%なのですよ。これではダメです。
私は声を大にして、農業を応援していきたいと思っています。」

私はこのお話の部分では涙がでました。

熱帯雨林は地球の生き物にとって大切な役割を果たしているが、そこには多種類のいちじくの木が生えている。
熱帯雨林が焼かれたりした後にも最初に再生するのが、いちじくの木だそうです。
このイチジクの木とイチジクコバチは一種と一種の関係で共進化したもので、
イチジクの花粉をつけたコバチの雌はイチジクの実の中で交尾し卵を産む。
雄は雌バチが外に出るための穴を開けて一生を終える。
イチジクコバチの雄はイチジクの実の中だけの生なのです。
(詳細は複雑なのでぜひネットで検索してみてください。)
つまりイチジクとイチジクコバチは互いにそれだけで種を保存共生進化してきたものなのです。

これらの小さな生物の営みが森林を育て、ひいては人間を支えているといっても過言ではないと、話されていました。
(昆虫の種類が地球上の生物の中でもっとも多い>) 

そして「虫愛づる姫君」のお話から、生命の尊重とはただきれいだから可愛いから大切にするのではなく、思うようにならない生き物のありのままの“生きている”を見つめ“生きる”を考えること、すなわち“愛づる”ことなのだと、締めくくられていました。

「JT生命誌研究館」のホームページで詳しい研究が読めますので、ぜひご覧になってください。
生命科学の第一線で活躍されている科学者というイメージを持っていましたが、このような社会的な発言をされていることに驚きと尊敬の念を持ちました。
養老孟司さん多田富雄さん柳澤桂子さんなどの科学者の発言も、長年の研究や体験を基盤にしたものであるゆえ、私には説得力を持つものです。
生物に関わる研究は「感動」を与えられるものであることも、私達にとって大切な事柄だと感じました。



*ここに書いたことは講演のほんの一部でありますこと、またごく私的な感想であることをお断りしておきます。












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Last updated  2007.03.27 17:21:31
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