根のない木のような家。戦中戦後から現在までの家族三代の壮大な物語です。
暮れにテレビで放映されたドラマ「ジャパニーズアメリカンズ」のように大陸に夢を求めて渡った祖父母。そこがアメリカか満州かの違いだけで、敗戦とともに日本に帰って来なければならなかった人たち。
「ここじゃない、どこか遠くへ行けばすごいことが待っているように思うんだろ。でもね、どこに行ったって、すごいことなんて待ってないんだ。そうしてね、また同じところへは帰ってこられないんだよ。出ていく前のところへは戻れないんだ。」
「後悔したって、もし、なんてないんだよ。あたしがやってきたことがどんなに馬鹿げたことでも、それ以外はなにも無い。」
祖母ヤエの言葉が胸を打つ。
歴史に「もし」は無いけど、人生にも「もし」はない。
でも、時代のせいとか、戦争のせいとか、決して言わなかったヤエ・・・・・
ドラマか映画になりそうな話です。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
謎の多い祖父の戸籍、沈黙が隠した家族の過去。すべての家庭の床下には、戦争の記憶が埋まっている。新宿角筈『翡翠飯店』クロニクル。