タイトルのとおり、
砂に埋もれて、
いくらもがいても這い出せない読後感です。
虐待を受けた子供目線の語りから
想像を絶する体験をした少年の心の叫びが刺さってくる。
逆に母子家庭であっても
幼児期に当然経験するであろうことが欠如しているせいで、
里親に引き取られても学校へ通いだしても、
人との距離感がつかめない。
それが自分でも分からないから、
クラスメートや里親との関係もギクシャクする。
母への恨みから女性を卑下する感情が芽生えるのも恐ろしい。
「親が親なら子も子だ」という言葉は非情だ。
貧困や虐待の連鎖から抜け出せない。
砂に埋もれる犬 [ 桐野夏生 ]