上巻から下巻へ、
ジェットコースターのような展開だった。
登りはゆっくりとワクワクした感じで、
降りは急降下で考える暇もなく
真っ逆さまに落ちるだけ。
あの頃私は就職したばかりだったが、
職場の先輩が「買わなきゃ損」とばかりに
盛り上がっていたのを横目で見ていた。
休憩時間に公衆電話で証券会社へ電話する人もいた。
先物取引で借金をして給料を差し押さえられた人もいた。
投資は自己責任で損をしても証券会社の職員に責任はない。
でも、それを許さない世界の人間がいるから怖い。
望月の出世の代償は大きかった。
真珠とダイヤモンド 下 [ 桐野 夏生 ]