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カテゴリ:行ってきました
6時前に仕事を終えることができたので,金曜日は7時まで公開されている出光美術館へ,仙崖展を見に行く。
久々の改装なった美術館が,どのように変化しているかも気になるところだったが,陶片の展示室が整理され,入りやすい雰囲気になった点を除けば,展示スペースには大きな変化を感じさせず,ゆったりと見て歩くことができる余裕はそのままだし,一服できる休憩スペースもこれまでどおり確保されていて安心した。 さて,「仙崖さん」である。数年前に,同じ美術館で見て,白隠の再来とも言われたその禅画の優しい面白さの虜になった。例えば,「月ハ」と書かれているけれど画面には月は描かれておらず,子供と一緒に,何かを指差し,見ている者もついつられて笑ってしまいそうな笑顔の人だけがいる。また例えば,菊の画が描かれていて,キクというけれど耳は無し,ハはあるけれど飲み食いするわけで無しといった詞が添えられている。 禅画なのだから,もちろんそこには深い教えが込められているのだが,そういうことをひとまず置いて,素朴で明るい画を愉しみたい。まるで駄洒落のような詞を味わいたい。ほっと心が緩み,ついニヤリとさせられ,温かい気持ちになる。 画も詞も,余分な物をすっかり削ぎ落とした,研ぎ澄まされたともいうべきものである。しかし,味わっているうちにそこに込められた意味を考えさせられ,自分のあり方を振り返らされる,そんな力を持っている。「週末エッセイスト」としては,表現というもののあるべき姿について,いろいろな想いが呼び起こされるものである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年10月19日 23時07分42秒
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