君たちに明日はない
君たちに明日はない垣根涼介さんの作品です。File1 怒り狂う女File2 オモチャの男File3 旧友File4 八方ふさがりの女File5 去り行く者おもしろい!の一言です。一気に読んでしまいました。主人公は、リストラ請負会社に勤務する33歳の村上真介。彼が担当するリストラ候補者との面接シーンとその候補者の人となりが時系列で、それぞれの一人称で綴られていて、読みやすくうまいなあと思いました。File1で担当した陽子に惚れてしまって、アタックする真介と8つも年下の真介にだんだん惹かれながらも、「いや、待てよ」と考える陽子のやりとりがおもしろかったです。真介の女性の好みは、「きつくてまっすぐで、きりっとした人」なのですが、File4のディッキーこと日出子(この名前のいわれが日出づる処の子という意味らしいのですが、聖徳太子か!という日出子の自分へのつっこみ具合がおもしろいです。)を好きになりかけたりして(ちなみに日出子は29歳で遠距離恋愛中のぼんくら?な彼氏がいます。)、もともとずいぶん年上の女性を追いかけていたようですから、世の男性とは好みがちょっと違っているのかもしれません。真介にも夢があって、それはFile2の「オモチャの男」とFile3の「旧友」で徐々にわかるのですが、興味深い過去で彼の人となりを作ったのは、その夢だったのだなと・・続きがあるなら是非とも読みたいと思います。 【内容情報】(「BOOK」データベースより)リストラを専門に請け負う会社に勤めている真介の仕事は、クビ切りの面接官。昨日はメーカー、今日は銀行、女の子に泣かれ、中年男には殴られる。はっきり言ってエグイ仕事だ。それでもやりがいはあるし、心も身体も相性バッチリの恋人もいる。そして明日は...?笑って唸って泣かされる、女と男の危ういドラマ。 【著者情報】(「BOOK」データベースより)垣根涼介(カキネリョウスケ)1966年長崎県諫早市生れ。筑波大学卒業。仕事と執筆の二重生活で書き上げた作品を投稿して、2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で大薮春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の三冠達成(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)