構造改革と「暗黒の木曜日」
1929年10月24日,木曜日。アメリカのニューヨーク・ウォール街の株価が大暴落した日です。世界大恐慌の始まりを告げ,「暗黒の木曜日」と呼ばれました。 大損して絶望のあまり自殺する投資家も相次いだ,といいます。しかし,被害から逃れた人もいます。俳優チャップリンは無傷でした。前の年に手持ちの株を全て売り,現金に換えていたからです。 大暴落の前日,彼は,「ホワイト・クリスマス」などの作曲家,アーヴィング・バーリンと食事とともにしています。株が話題に。“株など信じられない。儲かっているうちに売って手を引け”と忠告するチャップリン。 株で100万ドル以上儲けていたアーヴィング・バーリンは,怒りだします。“きみは非愛国的だ” 大暴落で財産を失ったアーヴィング・バーリンは後日,チャップリンに無礼をわび,いったいどこでそんな情報を手に入れたのだ,と聞きます。「暗黒の木曜日」と言われる株価大暴落で混乱するニューヨーク証券取引所前 チャップリンの『自伝』によると,彼を救ったのは『社会信用論』という本でした。著したダグラスは,イギリスの軍人だった人。国民の購買力をつけないと不況は避けられないという考えの持ち主でした。 失業は購買力を落とし企業の利益を減少させる。この説に感心したチャップリンは,失業者が1,400万人に達した年,株安を予想し売ったのです。 いま,アメリカでも日本でも株価が下がっています。訳はさまざまですが,彼の先見の明も参考にできそうです。 失業ばかりか,「構造改革」とやらのせいで年収200万円以下の労働者が1,000万人を超す日本。残念ながら,購買力,底力が落ちています。↑「構造改革」は企業による国民からの搾取だったと言わざるを得ません。そうは思いませんか?