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2010年04月04日
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カテゴリ:子育て・教育
■レポート FMKITAQ「ガイアの風」2月28日(日)放送

出演者:北九州子どもの村小学校 学園長 堀 真一郎さん

テーマ:自由な学校で子供は育つ



●堀真一郎さん プロフィール
1943年福井県に生まれる。
京都大学教育学部卒。同大学院博士課程中退。
大阪市立大学教授。
大阪市立大学学術博士。
ニイル研究会および新しい学校を作る会の代表をつとめ、
92年和歌山県橋本市に学校法人きのくに子どもの村学園を設立。
94年から同学園の学園長に専念。
現在、学校法人九州自然学園と、学校法人きのくに子どもの村学園の学園長。

学校法人 九州自然学園 
・北九州子どもの村小学校 http://k-children.jp/index.html
〒803-0180 北九州小倉南区平尾台2-5-24  TEL093-452-2602 

学校法人 きのくに子どもの村学園 
・きのくに子どもの村(和歌山県橋本市)  小学校、中学校、 国際高等専修学校
・かつやま子どもの村(福井県勝山市)   小学校、中学校
・南アルプス子どもの村(山梨県南アルプス市)小学校 
・キルクハニティ子どもの村(英国スコットランド)

主な著書 
『ニイルと自由な子どもたちーサマーヒルの理論と実際』
『きのくに子どもの村ー私たちの小学校づくり』
『自由学校の設計ーきのくに子どもの村学園の生活と学習』
ほか多数。


●北九州子どもの村小学校は、どんな学校ですか?

小倉南区平尾台にある私立の小学校で、4年前にできました。
(平尾台四季の丘小学校から、昨年、名前が変わりました)
皆さんが思っている学校のイメージとは、全く違い、学年、教科、教室、チャイム、宿題、試験、一斉授業というものは、ありません。
縦割り授業で、教科の名前が時間割の中になく、プロジェクト(本やドリルの勉強よりも、じっさいにつくったり、調べたりする活動)、基礎学習、自由選択、ミーティングで構成されます。
教室は、机を真ん中に輪を描くように並べて、勉強します。
チャイムは鳴らないので、子ども達は時間を意識して動いてくれます。
子どもは一人一人違っているし、違っている事はいいことなので、それぞれがそれぞれのペースで学習します。
試験もなく、宿題もなく、おやつがでます。
子ども達は、とてもたくましく、ハッピーに過ごしています。
他に全国に4校、このような学校があります。


●このような学校は、どのような経緯ではじまったのですか?

イギリスにある、ニイルという人が作ったサマーヒルという学校を参考にしています。
サマーヒル、スクールは、世界で一番自由な学校で、授業に出るか出ないかも、自分で決めます。
(3、4年出なかった子どももいますが、その子は、その後、大学まで進んでいます)
先生のことはファーストネームで呼び、授業や学校のいろいろなことも、みんなで決めます。
先生の1票も、生徒の1票も同じなので、生徒数が多い生徒の意見が有利です。
堀さんは大学3年のときに、この学校を知り、いつかはこんな学校を作りたいと考えました。
そしてニイルの考え方を知り、目からうろこでした。
それは、問題を起こす子どもはかわいそうな子どもである…という発想からはじまっています。
本当ははつらつとした、持って生まれたいろんな願望や本能的ないきる力などを、厳しいしつけなどで、押さえつけられて、心の中にわだかまりを持ってしまい、その結果、精神的に不安定になって、不安、緊張、自己否定感に苛まれています。
あるのは、問題の親、教師である…
この学校は、大人からの厳しいしつけを離れて、共同生活をしながら、自分たちの事を自分たちで決めながら、自分の人生を見つけて行ってほしいという願いを持って学校を続けています。
気になるのは、この学校を出た子どもたちがどうなったかですが、サマーヒルの卒業生はとても、優秀です。
学力は、高く、有名な絵本作家や、テレビタレント、ロンドンの有名大学の学部長など、卒業生は世にでて、たくましく活躍しています。
日本からも、サマーヒルに、多い時で、全校生徒60数名のときに、20数名行っていました。

堀さんは、いつか自分もこのような、子どもたちの心の中まで理解して対応する、自由な学校を作りたいと思っていました。
そして、1992年に最初の学校が出来て、今では、7校になりました。

●体験学習(プロジェクト)が中心ですが、それもサマーヒルがモデルですか?

いいえ。これは、アメリカのジョン、デューイの『何かをすることによって、学ぶ』の考えを取り入れています。
世間で考えられている体験学習とは、意味合いが違っていて、体以上に頭を使います。
自分たちで、問題に気づき、仮説をたて、実際にやってみて確かめるという体験をしながら、子どもたちが、小さな科学者のように、考える力を身につけてほしいということからです。
今、北九州子どもの村小学校では、小倉発祥の『やきうどん』に取り組んでいます。
やきうどんは、どうやって出来たのか?
うどんの歴史は?その後、麺類の研究、他の国の食生活、実際に作ったり、自分たちで調べものをするので、お金の計算や国語の勉強など、多方面に広がります。
昨年、全員でイギリス、スコットランドの学校に1ヶ月訪問滞在していたときにも、そこでやきうどんの続きで、その国の食生活や麺料理の研究もしていました。
最近は、うどんをいれる器の研究から、自分のお皿を作ってみて、来月、伊万里焼きや小石原焼きを、見に行く予定です。
子どもたちは、興味のあることに、のめり込んだときに、すごい力を出します。
そこを引き出すとき、子どもたちも、教師もとてもハッピーです。

●なぜ、このような学校を全国に4校も作られたのですか?

イギリスのニールの研究をする中で、実際に作ってみなければ、良さがわかってもらえないと考え、日本にもこのような学校を作りたいと思うように、なりました。
その中で、今の日本の教育に、大きな二つの問題を感じていました。
一つは、多くの子どもたちは自分を嫌いだ、とか、こんな自分ではダメだ、どうせ俺なんかとか、僕の将来は真っ暗だという自己否定感を持っていること。
その子どもたちが、毎日はつらつとして、自分が好きだ、生きているのが楽しいと感じられる、自由な学校を作りたいと思いました。
もうひとつは、学力低下の問題、子どもたちは、考える力が低下しています。
高学年で編入してくる子どもたちは、計算はできても文章題のようなイメージして、考える問題がとても苦手です。
学校で出す、手作りのプリントの問題のやり方がわからず、かけ算?割り算?やり方だけ教えてほしいと、言う子どもさんが多いです。
やり方を教えれば、答えを教えるのと同じです。
子どもたちが、毎日が楽しい、なぜか笑えてくる、小さな科学者のように、考える力を取り戻してほしいという、そういう思いでこの学校を作りました。
北九州子どもの村小学校は、新しいので、まだ卒業後の結果はわかりませんが、同じような教育を受けた、姉妹校の卒業生を見てみると、とても優秀です。
実際、高校進学後、平均値で、238人中28番だったり、あるいは他校でも250 人中、14、5番です。
そして、もうひとつ、卒業した子どもたちが学校に遊びに来て言うのは、他の学校から来た同級生は非常に幼く感じる、ということです。
子どもたちは、とても、柔軟に社会生活を送っています。
今は本当に、この学校を作ってよかったと思っています。

(手作り教室やオープンスクールなどしているそうです。途中編入もできますので、是非、見学に行かれてください)


吉岡感想

教育問題は、環境問題やいろんな問題と並んで、非常に大きな問題だと思います。
天変地異などではあきらめがつきますが、人間の親が子どもを問題だらけの教育で、駄目にしているのは、とても悲しい事です。
デンマークなどでは、とてもいい教育をしているのを耳にします。
このような学校がほんとにすばらしいと思います。
できれば、1日も早く、すべての公立学校がこのような学校になってほしいと思います。
素晴らしい学校の姿を聞かせてくださって、本当にありがとうございました。


アンジェラ感想

学校のお話を聞きながら、『私が通いたかった!!』・・・本当にそう思いました。
過去を振り返ると、1日中黒板に向かっているのは、実際とても疲れました。
番組の中で、『子どもたちも先生もとてもハッピーです』、そう堀さんが言われたのが、とても印象的でした。
子どもたちだけでなく、多くの大人たちが自己否定感に陥っている世界で、幸せになるのは、とても難しく感じられますが、ここではすでにみんながハッピーなのです。
幸せになるために、生まれてきた私たちが向かう先は、自由と個々を認められる世界なんだと改めて感じました。
大坪さんと、見学に伺うのが楽しみです。ありがとうございました。

(コーディネーター セラピスト アンジェラ 梶原 雅子)
HP http://www1.ocn.ne.jp/~angelahp

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最終更新日  2010年04月15日 18時54分37秒
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