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カテゴリ:教師について
今回の教育再生会議で前回エントリーで話題にあげた渡邉美樹ワタミ社長らの主張は「教育に競争原理を」のようです。 近年、渡邉社長が乗り出した“介護業務”はコムスン問題で現在、大騒動になっています。介護業務のことはよくわかっていませんが、競争原理がなじまない部分もあるのではないかと思います。介護業務は数兆円の市場であったとのことです。折口雅博会長が介護業務を「市場」と見てしまったことが今回の一連の騒動の発端となっているように感じます。教育「市場」もやり方を間違えるとかなり危うい部分があるのではないかと思います。 競争原理が必要ではないといっているのではなく、競争原理の導入の仕方を慎重に考えないと、教育は百年の計であり、やり方を間違って人が失われること、人が損なわれることは後々に大きな禍根を残すことになると思います。 さて、この話題に続いて、このところの気になる現象を。 何度も書きますが、私は競争原理が「悪」であると言っているわけではありません。ある程度は必要だと思っているどちらかというと賛成論者です。 しかし、 「教師どもはサボっているんだからもっと厳しくしちゃえばいいんだ」 というような論調の元に考え出される競争原理は実に危ういものがあります。 競争原理を導入すると、労働時間外の自己研鑽をせざるを得ないような状況が生じてくるのではないかと思うのです。会社員がNOVAに自費留学するように、教師も「教師塾」に通うような人が出てくるだろうと思います。 こうなると立場が苦しくなってくるのが、子育て世代の教員です。多くの民間で子育てをしながらフルタイムで業務をこなすことは難しいのに比べて、教育公務員は、制度に守られている面があり、そのおかげで出産後もなお勤め続けることが可能で、ベテラン職員の女性比率が高くなっています。今まで私が勤めてきた学校でも、40代以上の女性比率は20代の女性比率とそれほど変わりません。子育てと家事・仕事をこなしてきた女性ベテラン教員は、コンパクトに密度の濃い業務をこなすことができ、男性ベテラン教員よりも優秀ではないかと思えるくらいです。 もしも、競争競争でお互いを助け合う気風が失われ、闇雲に厳しい業務が続くとなると、結婚・子育て世代の若い教員にはつらいだろうなと思います。 それに加えて、新人教員もかなり苦しい立場になってくることと思われます。 若くしても、じつに指導が上手な教員として天性の才能を備えている人がいる一方で、指導がもたついてしまう教員がいることも確かです。本当に向いていない方は、競争原理によって淘汰されたほうが当人のためにも社会のためにも良いと思います。しかし、心優しいことが災いしているなど大器晩成型の教員がいることもまた確かです。器用ではないけれども、コツコツと仕事をおぼえて着実に力をつける人もいるわけです。 そんな彼ら若い教員の存在(団塊退職で急増中)が、学校にどんな影響を与えているのか、今後はどうなのか、について、何回かにわたってレポートしていきたいと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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