学校通信ＤＸ

前回と前々回のエントリーでヒサシ先生とヨシミ先生を取り上げて若い人はコミュニケーション不全なのではないかという話を書きました。

この2人は記事のための極端な例として取り上げており、若い人たちの中にも、上手に人間関係を築いていける人はたくさんいます。

ただ、日本社会が全体的にコミュニケーション不全に陥っているように私は感じており、その中でも、特に若い世代に顕著になってきているように思っています。まあ、総理大臣からして空気が読めないで、かたくなに持論を展開してしまうお国ですから・・・

若い人のコミュニケーション不全は、しがらみを断ち切った人間関係の中でいったん階層社会が平均化され（総中流化）、「いじめ社会」という新たな（いじめは昔からありました。昔とは質が違ういじめという意味です）しがらみが生まれ、 その中で育ってきたことは大きいと思います。

おそらく40歳前半以下の多くの若い教師は、少年・青春時代を厳しい人間関係の中で生きてきています。

何と言っても、建前が通らないことは、きつかったと思います。学校や教室が無法地帯となる中、学校・親や先生・社会が示す「正論」を実行していると、どうしても孤立をしてしまいます。イチイチ悪と戦っていては、身が持ちません。尾崎豊が、「卒業で」

行儀よく真面目なんてクソ食らえと思った

と、歌っていましたが、

行事よく真面目なんてできやしないと思った

が、現実でしょう。結局は、弱いのです。

切るべき所は切っていかないと、今度は自分がいじめのターゲットになってしまいます。強がって、心を隠し、閉ざし、やられる側に回らないようにいつもびくびくして過ごさざるを得なかったというのが、現実だったのではないでしょうか（私はそんな現実を肯定する気はありません）。

ヨシミ先生は、ヒサシ先生を「役立たず（学校にも自分にとっても）」とばさっと切って捨てているようです。それは、ヒサシ先生を受け入れる度量がないことがひとつの原因だと思います。

肩をもみにきた子供に「触らないで」と言ってしまったのも、子供と親しくするとクラスが崩壊へ向かうのではないかという精神的余裕のなさから来ているのではないかと思います。

※肩をもみにきた子供は、問題児でした。そして、その子供とヨシミ先生がうまくコミュニケーションを取れないことが、そのクラスの問題でした。

このような「切って捨て方」が、今の若い人たちに共通しているムードなのです。彼らは、昔から全体像を見る余裕がなく、絶えず目先の利益に走らざるを得なかった。そういう生き方が身についてしまっているようです。ゆったりと弱い者を受け入れるようにコミュニケーションをとるには、あまりにも情報社会化のスピードが速すぎます。情報に乗り遅れることは、致命的であるかのように思えてきます。本当は、そんなことはないんだろうけど。

・・・誰かを切って捨ててしまうことは、回りまわって、必ずどこかで報いがやってくることには、気がつかないといけないのですが。

情けは人の、ためならず。