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カテゴリ:時事・世相
立て続けに起こるひどい事件のニュースの中でも、なぜかこの事件には最初から強い関心を持ちました。どの事件も社会を映し出しているのでしょうけれども、おそらくこの事件は「社会」が生み出したという性格がより強いのではないかと思います。 この一週間、次々に事件・容疑者にまつわる情報が流れました。 ・友達や彼女をほしがっていた。---現代人の孤独の問題 ・青森県という地方性---容疑者の家族・地方というしがらみからの脱却と挫折 ・ネット上でさえ孤独に陥り暴発? ・容疑者は教職志望をしていた時期もあり、会社の後輩からは兄貴分的存在という証言もあった。 ・犯人が酒鬼薔薇世代、犯行日は池田小学校殺傷事件と同一日---母親は酒鬼薔薇事件当時から息子を怖いと思っていた ・オタク要素の強い犯人が秋葉原という場所を選んだ---犯人のオタク要素に関する報道 ・両親の謝罪---泣き崩れる母親を映すTV ・携帯サイトへの異様な書き込み ・ネット上での容疑者への憎悪的書き込み(「世の中が嫌になったら自殺するべきだった」等)と同情論と同情論への反発 ・事故現場を携帯で映す群集と携帯で写す群集への非難---野次馬の写真がネットで晒される ・派遣社員---派遣先はトヨタ関連の関東自動車工業株式会社、この会社は事件に関するリリースをHPで発表している→http://www.kanto-aw.co.jp/ などの断片的な情報が、私の印象に強く残っています。 孤独であった、格差社会の弱者であったなどという背景があるからといって、容疑者に同情するわけにはいきません。 それでも、この事件が問いかけていることは大きいように思います。 十数年前、私はこの容疑者の世代を担任し、キレル子供に初めて遭遇しました。それまでの暴力的な子供とは異なった、その後の世代に多く見られる様相です。自己愛、万能感、孤独感、意外な優しさを持ち合わせる、親が子供の土俵に降りてしまい兄弟げんか状態になる・・・・ 戦後、私たちは鬱陶しいしがらみからの脱却を図ってきたように思います。クールに個人主義を通すことが容易になってきて、脱却には一部成功したものの、しがらみに代わる人間の繋がり方を見つけられないまま、現代人は危ない社会の中を彷徨しているようなイメージがあります。社会全体が多機能不全に陥っているような・・・ 残念ながら今回の事件が起こったことに対して、それほど不思議に思えない自分がいます。教育現場にいると、彷徨する群れから脱落していきそうな可能性のある子供たちがたくさんみかけられます。確かにひどい事件ではあるものの、「こんな社会であれば、いつかはこんな事件も起こってしまうだろうなあ。」と、思ってしまいます。 背景は複雑で、「はい、解決されました」という次元の問題ではないと思います。それでも、私たちはこの事件の社会的背景について、ひとつひとつ、じっくり考え直す必要があるのではないかと思います。
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