おとといの日記で中国語のいわゆる標準語「普通話」について少し書きました。普通話といってもみんな出身地の方言を引きずりながら話すので、かなり変化の幅が広く、それを理解する中国人の耳の許容範囲は日本人が理解できる範囲の日本語の発音の幅よりも広いと思うということです。
これを実感したのはだいぶ前ですが、1987年に北京に初めて長期滞在したとき、「中国共産党第13次全国代表大会」というのがあって、これの開幕宣言をした胡耀邦(当時総書記)の肉声をテレビで聞いたときです。当時存命だった胡耀邦(湖南省出身)、トウ小平(四川省出身)などの「第2世代」の人たちは方言丸出しでしゃべっていました。広東語・上海語・福建語を引きずって普通話を話す人はもともと北京語とはやや違う系統にあるので個々の発音で巻き舌がないくらいのもので、結構普通話をちゃんと話しますが、四川や湖南の人はそれほど地元の方言が普通話とは遠くないので、かえって方言そのままを話す傾向にあるのではないかと思いました。胡耀邦などのこの時代すでに老人の範疇に入っていた人たちはそもそも普通話をしゃべろうという意思もないのではっきり言って何を言っているのかよくわかりませんでした。国家を代表するような会議の場の開会宣言で方言丸出しというのには、とてもびっくりした記憶があります。
ちなみに、胡耀邦のそのときの開幕宣言はこう言っていました。
「中国共産党第13次全国代表大会、現在開幕!」
正当な普通話のピンインで書くとこうなります。
Zhong1guo2 Gong4chan3dang3 di4shi2san1ci4 quan2guo2 dai4biao3 da4hui4 xian4zai4 kai1mu4!
胡耀邦の発音は大体ですがこんな感じでした。
Zong3guo2 Gong2can2dang2 di3si2san3ci1 quan2guo2 dai3biao1 da3hui1 xian2zai2 kai1mu2!
ちょっと違う部分はあると思いますが、巻き舌がないのは当然、声調が全然違います。「現在」は普通話では「シエンツァイ」ですが胡耀邦の発音は「シアンツァイ」で声調も4-4でなく2-2でした。(ピンインをご存知でない方すいません)
当時総書記という立場なので、確かこの方言丸出しで「活動報告」などを長々と演説したはずですが、当時はまだこういう人たちがたくさんいましたので会議の出席者からすれば違和感はなかったのかもしれません。こういう経験を踏まえて私としては中国人の耳の許容範囲の広さを感じたわけです。でも今思えばやはりあのくらいなまっていると、本来通訳がいてもおかしくないくらいで、やはり聴衆からすれば何を言っているのかわからなくても別に気にしないというこの状態は、人の話を聞いているようで全然聞いていない一般的中国人の特徴につながっていることなのではないかと思ったりします。
ちょっとわかりにくい話になって申し訳ありません。。。
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