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テーマ:中国&台湾(3303)
カテゴリ:中国語と方言
昨日のプロ野球中継を見ていたら、巨人にいる台湾人投手が投げていました。アナウンサーや解説者は彼の名前を「ジャン・チェンミン」と呼んでいましたが、漢字でどう書くかというと「姜建銘」です。 台湾人なので、大陸式ピンインは使わない(8月30日の日記で書いたように最近は台湾式「通用ピンイン」も使われていますが)ため、たぶんパスポート上のローマ字表記はウェード式ローマ字で「CHIANG CHIEN MING」のはずです。大陸式ピンインでは「JIANG JIANMING」となります。もしカタカタで無理に書くのであれば、「チャン・チェンミン」か「ジャン・ジェンミン」となるはずなのに、何故か混在しています。姜選手の背番号の上のローマ字表記は「C.M.CHIANG」となっているので、じゃあ「チャン・チェンミン」じゃないの、と思いましたが、単に間違っているだけなのか、何か意図があるのか少し不思議です(さらに厳密にいうと、「チャン」は「張」になってしまうので、「姜」は「チアン」とすべきですが)。 実は子供のころからプロ野球ファンでして、東京生まれ、東京育ちでありながら中日ファンという完全マイノリティでした(幼少から大勢に反抗的ないやな奴)。中日は台湾人選手を古くから重視していたこともあり、そういう点からも台湾人選手を応援していました。それはさておき、これまで日本のプロ野球に在籍した台湾人選手で活躍した選手のローマ字表記を並べてみます。 ・郭源治(中日): 登録名→かく げんじ 背番号の上のローマ字→KAKU (台湾での表記はKUO、大陸式ならGUO) ・郭泰源(西武): 登録名→かく たいげん 背番号の上のローマ字→KAKU ・荘勝雄(ロッテ):登録名→そう かつお 背番号の上のローマ字→SOH (台湾での表記はCHUANG、大陸ではZHUANG) ・呂明錫(巨人): 登録名→ろ めいし 背番号の上のローマ字→RO (台湾での表記はRO、大陸ではLU) ・大豊泰昭(中日・阪神等):登録名→たいほう やすあき、本名は陳大豊 背番号の上のローマ字→TAIHOH 90年代までに来日した選手の登録名やローマ字はみんな日本語読みでした。2000年以降くらいから変化があって、原音のカタカナ表記に変わりつつあります。 ・許名傑(西武): 登録名→シュー・ミンチェ 背番号の上のローマ字→HSU (フルネームはHSU MING CHIE、大陸ではXU MINGJIE) ・張誌家(西武): 登録名→チャン・ズージャ 背番号の上のローマ字→CHANG (フルネームはCHANG CHIH CHIA、大陸ではZHANG ZHIJIA) 本来、中国人の名前はどのようにカタカナで書いても、うまく書けませんし、無理にカタカタにする必要はないと常々思っています。たぶん台湾人選手の名前をカタカナ書きにするようになったのは、韓国人選手が増えてきて彼らはカタカナで読んでいるのに台湾人もそうしないとまずい、と誰かが言ったのかもしれません。韓国語の場合はカタカナ化しても原音に比較的近いですし、声調もなく日本語とそれほど遠くない特徴があったり、韓国側も日本人の名前は原音で呼んだりなどの相互主義もあるのでまあいいかと思います。中国人・台湾人の場合はそもそも言語の発音や成り立ちが全然違うのでそうする意味はないと思いますし、中国語を話す人は日本語の知識がない限り絶対に日本人の名前を日本語の音で発音することはなく、勝手に中国語の発音で読んでいますが、これは半永久的に変わらないでしょう。中国人通訳を通す場合に、日本人が無理に現地音に配慮したつもりでカタカナ的に中国人の名前を言っても、通訳は大体「は?」となって通じないことも多いことは現地で何度も体験しました。日本のマスコミも中国人名・地名(慣習的に定着しているシャンハイやチンタオなどは例外)を発音するときはそういうこともあって依然として日本語読みのままです。 冒頭の姜建銘投手のカタカナ表記は台湾式と大陸式が混ざっていて無茶苦茶になっていますし、例に挙げた張誌家投手も同じような感じ(「誌」という字が「ズー」というのは台湾っぽい)。無理にカタカナ発音をせず、堂々と「きょう けんめい」投手といえばいいと思うんですが、どんなもんでしょう。 こういうマニアックな話題にお付き合いいただいた方、ありがとうございます。 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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