国マニア、言語マニアとしても、最近のグルジア情勢は憂慮しております。そんなことで、ちょっと蘊蓄を含めてグルジアについて少々。
今回、北京五輪のときにロシアとグルジアの紛争が勃発しました。その後もロシアは世界的に非難を浴びているはずなのに、資源大国になった強さなのか相変わらず強気です。ロシア人が多いといわれるグルジア領内の南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の「独立」をロシアは承認した一方で、グルジアはロシアとの国交を断絶したり、米ロともに黒海に軍艦を派遣するなどきな臭い感じがより強くなった気がします。
一連の話を聞いておかしいと思うのは、南オセチア自治州と国境を接するロシア側には北オセチア共和国というロシア内の共和国がありますが、ここは2004年に学校襲撃事件があってたくさんの生徒が亡くなったところ、その右隣にはロシアからの独立を宣言して対立していたチェチェン共和国があります。ロシアは自分の国の一部の地域が独立することを力で抑えつけておきながら、すぐ近くにある隣の国の一部が独立しようとしたらそれに正面から介入して支持するというのは、相当の自己矛盾でないかと思います。まあ、ロシア以外のあの大国もそういう点では共通ですが。。
ここから蘊蓄に入りますが、ソ連時代の独裁者スターリンはこのグルジア出身、ソ連最後の外務大臣だったシェワルナゼという人(その後グルジア初代大統領だったかと)もグルジア出身で、結構要人を輩出している国だったりします。グルジア人は「・・・シビリ」「・・・ゼ」で終わる名前が多いですね。スターリンの本名は「ジュカシビリ」、今のグルジア大統領は「サーカシビリ」と、ちょっとしびれそうな名前です。。
ちなみに「グルジア」は英語ではGeorgiaとなって「ジョージア」。これだけみるとアメリカのジョージア州と全く同じになってしまいます。サーカシビリという大統領が演説するシーンをテレビで見て、英語がやけにうまいなと思って調べたら、大統領になる前はアメリカで相当長く弁護士をしていたんですねえ。こんな話を知ると、グルジアはコーカサス地方にありながら、米国の飛び地、出先のようにも見えてしまいます。今回の紛争の一端はグルジアがNATO加盟を推し進めたことがありますが、ロシアからして見ると「ジョージア」という名前といい、米国を思い出させる名前であったり、スターリン時代の恨みなんぞも深層心理的にはあったのかもしれません。あと、グルジアのサーカシビリ大統領は1967年生まれ、とロシアのメドベージェフ大統領は1965年生まれと二人とも私より若いんですねえ。ありゃりゃ、といった感じでございます。。
最後に言語マニアとしては、グルジア語も見逃せません。こんな文字を使います。このサイトから生グルジア語も聴けます。グルジアを含むコーカサス地域は、例えば隣にあるアルメニアとか、非常に古い歴史のある地域なので、ちょっと異色ですね。そもそもグルジアとは「聖ゲオルギウス」から来ているとのことですが、キリスト教の一番古い時代の名残があるところです。ゲオルギウスを英語では「ジョージア」と言っているだけで、グルジアに比べればアメリカのジョージア州などは歴史的に見たら子供のようなところなんでしょうね。
いずれにしても、グルジア情勢、今の混沌とした世界の象徴のような気もします。平和裏になんとか話が進んでほしいものでございます。。
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