最近、食品偽装問題が頻出するようになってから、今まで聞いたことのない化学薬品名をたくさん耳にするようになりましたね。
まず、「メラミン」。「メラニン」は今までも「メラニン色素」などでたまに聞きますが、「メラミン」は中国の粉ミルクに混入された薬品です。牛乳を水で薄めて偽装するとタンパク質濃度が減るので、検査に通るよう濃度を上げるためにこのメラミンというヤツを使っていたようですが、とんでもないことをするものです。
もうひとつ気になるのは「メタミドホス」。これは最初は中国の毒入りギョーザ事件で出てきた農薬の一種ですが、ごく最近は「三笠フーズ」の事故米流通問題で、その事故米に含まれる薬物のひとつとして名前がよく出てきます。
ちなみに語学マニアとしては、このような化学薬品が中国語でなんといわれるのか結構関心があるのでいろいろ調べてみました。化学系の言葉は何語でもとても難しいですが、中国語の化学系の言葉は非常に独特なのでその点は結構面白いです。たとえば、中国語での元素名はすべて一文字、気体であるものは原則「气」という部首だったり、金属のものは「金」へんだったりと、ある程度統一されています。が、その字を見て何であるか、発音から意味をすぐ思いついたりするには相当難しい感じがします。
そこで本題ですが、「メラミン」は中国語で「三聚〇 月安 san1ju4qing1an4」(〇は先ほどの气の中に「青」、「月安」は一文字)。「メタミドホス」は「甲 月安 燐 jia3an4lin2」(「月安」は一文字。最後の「燐」は本当は「石」へんです。くしくもメラミンとメタミドホスに同じ字が入ります。)。「ちなみに全く関係のない「メラニン色素」は中国語で「黒色素 hei1se4su4」。なるほどって感じ。
「メラミン」の化学式はC3H6N6。中国語で「三」が入るのはC3だからでしょうか。气の中に「青」の部分は「シアン」という意味だそうです。最後の「月安」はアンモニウムかと思ったら「アミン」という物質でした。アミノ酸の仲間でしょうか。ちなみにアンモニアは气の下に「安」と書きます。「メラミン」は通称「蛋白精 dan4bai2jing1」というようですが、これだと牛乳に混ぜたくなるネーミングです。メラミンを粉ミルクに混ぜたのはもしかするとこういう無知から来たものでは。。
「メタミドホス」の化学式はC2H8NO2PSと、こりゃまた難しいですねえ。P(リン)があるので、中国語の最後の文字が「燐(リン)」、なんとなく肥料系、農薬系っていう雰囲気はありますね。こういうところ、日本語ではカタカナでそのまま書いてしまいますので、中国語だと比較的わかりやすいといえるかもしれません。昔、アフリカのODA関係をやっていたとき、融資先の某国の肥料工場や硫酸工場の事後評価というものを現地でやらされたので、肥料のにわか勉強をしたことがこんなところで活きました。しかし、大学受験で化学を選択したときに上のようにC(炭素)が含まれる炭素化合物を勉強したような気もしますが、化学の世界は本当に難しいですね。
最後ですが、その炭素化合物のことを「有機化合物」というわけですが、「無機」は化学肥料が含まれるもの、「有機」は「有機農法」というように化学肥料が含まれない環境にやさしい(まあ人糞とか家畜の糞を肥料に使うわけですよね、確か)もの、という意味であるかと思います。「有機」のほうがなんか変なものが入っているような語感がありますが、そう思うのは私だけでしょうか。
難解な内容になり、自分でもなんだかよくわからなくなりましたのでこんなところで。。
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