046657 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

品田知美の空中庭園

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Profile

Ayami0719

Ayami0719

Freepage List

Archives

2024/10
2024/09
2024/08
2024/07
2024/06
2004/11/26
XML
カテゴリ:イベント
 忙しさに紛れて見そびれていたマティス展。母から「上京して見に行くけど」と誘われて、これ幸いと同行した。
 アトリエのマティスがとても新鮮だった。彼が、ある時期創作の過程(プロセス)を写真におさめ、最終的な作品とともに公開していたことを、初めて知った。
 彼の創作の流れに、本を書く作業を思い出した。まずは、対象をよく見て精緻に描写する。すべてはデッサンにつきる。そのあと、すこしずつフォルムを崩したり、イメージを足していく。その後、そぎ落として抽象化したあと、仕上げにデコレーションする。
 1つの作品は、長い期間に渡って書かれる。最初は集中してまとまった時間をとり、少し間をおいて書き直し、さらにしばらく期間をとったあと、最後に仕上げをする。マティスの絵の独特の質感は、そうやって創られたものだったのだ。
 私も、よく文章を「漬け物」にしておく。さっさと書いて終わる、ということがなかなかできず、時間がかかる。だから、ブログは正直いって苦手である。
 私は論文や本を書いていると、絵を描いている気分になることがよくある。キャンバスに線を加え色を重ねる作業と、真っ白な原稿用紙に字を埋めていく作業の、どこがつながっていたのかようやく、すこし理解したような気がした。
 後期になると、マティスは切り絵と素描へと絵画の2要素を分離して追求しはじめる。私は彼の切り絵が好きだが、母は素描が好きだという。対象から得た感性を、色と形から切りだすのか、線で切りだすのか。文章にも、さまざまな切り出し方があるはずだが、私にはまだやり方が見えていない。
 絵を見に行ったはずなのに、私は結局自分の仕事のことを考えている。大画家の人生が、ほんのすこし身近に感じられるようになった、貴重な展覧会だった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2004/11/27 12:39:40 AM
[イベント] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.
X