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品田知美の空中庭園

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Ayami0719

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カテゴリ:子育て/教育
 3月になると次の年度が気になり始める。私は季節労働者なので、いまは成績つけも終わり、一番気持ちが緩むとき。ことしは花粉も少ないようで、気持ちが明るい!はずなんだけれど、どうもすっきりしない理由が1つ。学生のレポート採点で、今年はぐったりと疲れが出ている。
 「ダウンロードでまるうつし」の割合がいやに高かったのだ。作る方はラクかもしれないけれど、確証を持って「ダメ出し」するには意外に手間がかかる。私が持っている講義は様々なので、わりと自由度の高いテーマでレポートを課しているものは稀で、その講義内容に最適だから選んだ評価方法だった。さほど大変な課題でもないだけに、残念である。
 うつしたくなる人は、考えるのが心底「めんどう」なのだろう。テーマに合いそうな資料をダウンロードして、文頭や文末に加工をいれて、形を整えて、なんてことに頭を使う方が、よっぽど「めんどう」な気がするのに。さらに、もう1つ気になった点は、ずっと思い込んできた常識とか、マスメディア常套句になっている文言なんかを、そのまま書いてしまうこと。もともと社会学は「常識破壊ゲーム」という言葉があるくらいで、「こんなふうにいわれてるけど、本当にそうかな?」というところから私の講義は出発する。「こんなデータや資料からみると、常識が違って見えてくる」という話をさんざんしたあと、テストやレポートで常識そのまま(笑)の内容をみるとがっくりくる。(授業に出ていないか、聞いていないか、聞いても伝わってないか)おお、よく学んでくれた!と心暖まる解答もたくさんあるのはもちろんとして、一部の話ですが。
 大学生になるまでに学んできてほしいのは、自分が教えられてきた知識が常に書き換えられる可能性があるという認識。特に、社会科学では多様な学説のぶつかりあいのバランスで、知の体系が作られているという常識。もちろん現在の初等/中等教育、大学入試制度の中で一人で学ぶのは酷だ。様々な主張の折り合いをつけるためには、論理的な文章の心得が必要になり、データや資料で説得する技法も重要となる。覚えることによって身につく知識も大事だけれど、むしろ現代社会で重要なのは、膨大にあふれている情報から、必要な知識をつりあげる力、その知識を使って相手と議論できる力である。
 塾や予備校(あるいは学校)であらかじめ「精選された知識」を「わかりやすい講義」で身につけてくると、この力は育たないのではないか、と気になる。塾や予備校通いが当たり前の時代には、入学時の学力と潜在的な知力の関連が見えにくい。むだな勉強や回り道をせず大学に入学し、そのあとも「考える」ことをなるべく避けて学生生活をのりきろうとしたら、人生のどこかで壁にぶつかってしまう。人生そのものには塾や予備校などないのだから。学生時代にせめても方向転換をはかってほしい、との願いを込めて教えているが、もう少し早くに「学び方」を学んできてくれないかと願う。





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Last updated  2006/03/02 11:03:22 PM
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