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品田知美の空中庭園

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Ayami0719

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カテゴリ:イベント
 しばらくヨーロッパに一人で出かけた。どうもまだあちらの時間帯に身体がなじんでしまっていて、眠れない!というわけでこれを書いています(^^;;;;。研究のための出張でほとんど自由な時間はなかったけれど、デンマーク:コペンハーゲン→オランダ:アムステルダム:→イギリス:ロンドンと短期間に移動したためそれぞれの都市の差異が際立って感じられた。それに、アムステルダム→ロンドンは鉄道にしたから、ベルギーとフランスを通ったことになる。国境を越えるとじつに違う風景が広がっていた。ヨーロッパは本当に多様である、と実感すると同時に、ああ、日本と比べればなんて似通っているのだ、とも実感する。
 今回初めて訪れた都市は、アムステルダム。ここは本当に不思議な都市だった。とにかく隠れているものがない。街を歩いているとふっと「コーヒーショップ」(許可されているドラッグを吸うところ)があり、「飾り窓」(政府公認の売春の店)もみかける。人間の欲望をそのままあっけらかん、と表に出されるとかえってやる気もうせるのか、地元の若い子はあまり興味もわかないという。ただし、ここは自由だが無法地帯ではない。完璧なまでの整った制度の上に自由が置かれているのだ。地元フリーペーパーでは、未成年者を売春に雇っている店が摘発されたとの記事をのせていていた。許されざることは徹底的に取り締まるが、大概のことには実に寛容だ。それにしても、これほど自由を享受できる街のすぐ近くについこの間まで息子が滞在していたかと思うと冷や汗がでる。彼がいうには、オランダではなぜか「夏の花火」は固く禁じられているので、これをやってみたい、と隠れてやってみる子が「ワル」になるそうだ。人間の心理とはそういうものらしい。。。
 街のつくりは、低密度で知られる北欧の都市コペンハーゲンとは違い、市街地のまわりに緑地帯を厳格に設けて郊外化を防止している点で、イギリスと似ている。だが、圧倒的に都市規模が小さいから電車に10分乗るとひたすらのどかな牛か羊のいる牧草地帯が広がる。郊外の小さな街を訪れると、街中を通行止めにしてトライアスロン大会が開かれており、地元の人が大勢参加していた。家は土の上に建っているものと水の上に浮かんでいるもの!と2種類ある。ここでは水も土も単なるスペースを提供する、という意味で同列らしい。
 オランダでひたすらつづいていた平原は、ベルギーに入り、フランスへと移動するにしたがって、起伏を伴うものへとかわっていった。ベルギーでは緑地帯があまり機能しておらず、だらだらと郊外化が進んでいるという意味で、少々日本的な風景がみえた。どうやら駅舎の維持管理にはお金をかけていないようで、ホーム周辺はタバコの吸い殻やゴミだらけで、少し薄汚れた雰囲気であった。隣国どうしは、しばしば対照的な文化的側面を持つことがあるといわれるが、まさにこの2国の都市には当てはまっている。
 ロンドンに移動すると、やはり大都市としての東京と同じような雰囲気を感じる。人は歩くのが早く、常に競争の中に駆り立てられ、よりよい職や家を求めて生活している。地下鉄でビジネスマンは無言で書類を読む。同じ季節、アムステルダムでは人々の表情はまるでお祭りのような明るさであったというのに。テロで厳戒体制であったことも関係するだろうが、オランダで感じなかった「階層」と「民族」の住み分け状態を常にぴりぴりと意識させられる。やはり地位を得た人は、丘のある街ハムステッドやノッティングヒルに住みたいらしい。ここでは肌のいろが薄い人が目立つのに、ほんの少し離れた丘のない街には、色の黒い人が多い。
 考えてみればオランダには丘がなかった。丘に住みたい人が集まるところでは、どうにも人の差異というものが際立っていくのだとすると、起伏のはげしい東京という街で、きょうも「勝ち負け」ごっこが続いているのはどうしようもないことなのかもしれない、などと考えてしまう。オランダで根付いてしまった「違いはある、でも勝ち負けはない」という究極の価値感がどこまで世界に広がりうるのか。いま、テロの連鎖を断つ思想の光がこのあたりにほのみえた。





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Last updated  2006/09/07 12:59:22 AM
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