散華
宝生能楽堂で日蓮宗の声明の会が催された。今年に入っては真言宗系のもの2つに続いて3度目。 第1部が研声会(旧漢字使用)の方々による声明。さすが日蓮宗らしいというか、女人成仏の法華経を重んじる宗派なので、こういう声明の会でも女性(出家しているので性差は無関係だが)が登場する。法華経の経句や諸菩薩賛嘆の声明が続く。 日蓮宗というと、狂言「宗論」で描かれるような熱い性格という面があり、それは中世の宗派による争いのイメジでもあるだろう。そういう面(もちろん悪い意味ではなく)をかいま見せる力強い声明であった。 第2部は下宝生流宗家宝生閑さんの「鵜飼」。ワキが安房国清澄の僧が甲斐国に赴くという設定で、詞章には出てこなかったと思うが、思い切り日蓮上人を意識した曲で、今日の会にふさわしい。ワキがちょっと目立つ作品だけれども、長い謡があるわけではなく、どうするのかと思っていたら、下宝生の方が5人で、後場のシテの部分も含めて謡っていった。 第3部は御書礼講法会。問答形式で、質問の回答に日蓮の要文が引用されていく。問答の前後には、散華や法華経如来寿量本「自我偈」の読経、奏楽等があり、結構崇高な気分にさせられる。儀式としての整った美しさとでも言おうか、ただただなめらかな儀式の展開に合掌。 散華といえば、大きな寺院で販売している所もあり、西国三十三ヶ所巡礼ではご朱印を戴く時に一緒にもらえたりする。今回は色紙で蓮の花びら型に切り抜いたものや花を描いたものが撒かれた。公演終了後舞台を物欲しそうに見つめていたせいか、数枚を戴くことができた。ありがたや~▲向かって右が西国三十三ヶ所の第二十八番札所成相寺左が今回戴いたものの1枚