公募川柳入選のコツ
いくつもの公募川柳選者をやっていると、年間に30万句ほどの作品に目を通すことになる。 もちろん、句会や勉強会の作品選、批評も加えると更に増えるが、句会作品や創作と公募川柳の選考では、やや趣をことにすることに気付いている。 選者の立場で何を考えているのか… 明らかに、公募川柳における選考では、江戸の川柳評に似た基準に近い。1.まず、作者が一般の思いを代弁すること。 代弁するとは、誰もがそう思いながら言い切れずにいたことを、十七音に定着すること。ただし、誰もが思いつくことで、誰でも言えることは、同想句となり、落選する。いかに、意表を突きながら「そうだ!」と膝を打たせる内容が必要である。2.時代を反映していること どんなに「1.」を満たしていても、昔から言われているようなことを蒸し返しても詰まらない。時代の空気を吸っているキーワードや作者の感覚が句に現れれいること。3.リズムがいいこと 私は、「川柳は五・七・五でなければいけない」などという硬いことはいわないが、リズムの悪い句は、やはり読んでいて共感が薄い。当然落選する。4.奇妙なペンネームを使わない ペンネームは作者の一面を表すもの。句を説明、補完するものではない。したがって、句の説明のようなペンネームはいただけない。 また、おふざけの語呂合わせの名称も作品の品格を傷つける。公募川柳とはいえ、川柳は文芸であり、伝統文化である。 こういったことに気をつけて投稿すれば、きっといい結果になる。 現在進行中の「サントリー 血圧川柳」も多くは上記の理由にそぐわず落選。ところが、その中にキラキラ光る原石が転がっている。少し直せばいい句になるものも少なくない。 今後の川柳の一展開として、公募川柳の可能性を信じたい。