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カテゴリ:こころ
昔行っていた中学・高校の文化祭に行ってきた。(一貫校なのだ)
近所なのにずっと訪れていなかった学校、何年ぶりだろう? あの学校に、あんまり良い思い出はない。 友達には恵まれたと思うけど・・・ そのあまりよろしくない思い出の筆頭である「K先生」 中学の時の担任であり、数学の先生でもあった彼と 私は最高に仲が悪かった。 そもそも激しく脳みそが文系に偏っている私。 入学当初から数学を完全に見失っていた。 先生の言ってることが、そもそも何が分からないのか分からない、ぐらい分からない。 分かろうとする気もなかった私は、数学の授業中ずっと机にびっしりと わけのわからない気持ち悪い絵を描いていた。 数学教師である彼は、授業中ぐるぐると教室を歩き回りながら 時々私の横に立ち止まって深い溜息をついていた。 何も言わなかった。 そしてそのうちだんだん、立ち止まることもなくなった。 中1か中2の時だったか、何かで彼と言い争いになって 去っていく彼の後ろ姿に「ふざけんなよクソじじいが!」か何か叫んだシーンが 今でもくっきり記憶に残っている。 私が感情をむき出しにしても、彼は白けた無表情で去っていくだけだった。 あの頃はいろんなことでぐるぐるしていたから 自分の気持ちに深く向き合うことなんてなかったけど 私は寂しかったんだな、と今になって思う。 無視されていたことが。見捨てられたことが。 自分から歩み寄っていけば良かったんだろうに 生理的に苦手なタイプだったカタブツの彼に、私は心を開かなかった。 そして彼も心を開かなかった。それだけなんだけどさ。 担任でもあり学年主任でもあった彼に嫌われていたことで 私の学校生活全体が、何となく疎外感に包まれていった。 私の数学は笑えるぐらい進歩しないまま数年が過ぎ、 高1の終わりに、ついに単位を落として学校を去ることになった。 もちろん留年しても良かったんだけど、 1年長く学校にいるなんて真っ平ごめんだったから、転校した。 あれからえーと、12年かー。 今日、母の車に乗って校内に入ったら、車の誘導をしていたのが、そのK先生だった。 「うわーお久しぶりですー!」ととりあえず車の中から叫んだ。 母が車を置きに行っている間、モモと眞手の相手をしながら 横目でちらちら彼の様子を窺っていた。 あっちから寄ってくる様子はなかったので、意を決して話しかけに行った。 「先生、当時は色々ご迷惑をかけました~」 「いやいや、何言ってんの。やーもう2人の子持ちか~」 先生はしゃがみ込んで子供たちの頭を撫で、「よく似てるなぁ」と目を細めて 「お名前は?」とか「パパはどんな人なの?」だとか色々話しかけてくれた。 意外なぐらい話が弾んで、通りすがりの他の先生に 「○○先生、ほら△△(私)だよ、懐かしいよな~」なんて紹介してくれたり。 たったそれだけのことだけど、私は何だかすごく温かい気持ちになって 十数年も前のあの頃のことが、意外なほど自分の中で暗い影を落としていたことを知った。 ずっと心の片隅にある孤独感、見捨てられたような、いたたまれない感じ。 私はここに存在していてはいけない、はっきりと言葉にはならなくても いつもそんな感じが私の体を取り巻いていた。 あの頃はただ単に「あいつ大っ嫌い」と憎んでいたけど 本当のところは私、寂しくて悲しかっただけなんだなー。 そしてきっと、自分の授業をひたすら無視されて、彼だって寂しくて悲しかっただろう。 うーん、出会ったのが今だったら、仲良くなれたかもしれないのにねー。 宿敵だった彼が、一人の普通のやさしいおじさんに変わった日だった。 また来年も遊びに行こうと思うよ。 そうだ、今になって突然はっきりつながったけど・・・ 私のプロフィール画像に使っている絵は、中学の頃描いたもの。 あの頃何だか無性に、こういう何もかも超えちゃったような、 目がぽっかり宇宙みたいな、何もかも包み込んでくれるようなじいちゃんに、 抱き締めてもらいたくて仕方なかった。 なんかこう、生きてるだけでいいよって言ってくれるようなさ。 寂しかったんだなー私、本当に。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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