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カテゴリ:生活
きょうは中田安彦「世界を動かす人脈」(講談社現代新書)の発売日だと思って紀伊国屋に行った。しかし、店頭にはまだなかったので、北海道は例によって、遅いんだと勝手に納得して、余計なものを買ってしまった。堂免信義「「民」富論―誰もが豊かになれる経済学」(朝日新書)と中野雅至「公務員クビ!論」(同)の2冊。堂免信義の経歴がすごくいい。35年生まれで、東大理学部卒、大手電気メーカーのソフト部門でシステム開発等を経て、退職後、独学で経済学を研究するとある。面白い。
以下、株式日記と経済展望と経済コラムマガジンが面白いのでコピペ。 経済情勢もほどほどにせなあかんけど、アンテナをピンと張った状態が続く。時間がなくて非常に厳しいが苦痛ではない。 まずは、経済コラムマガジンがいい。匿名で書く必要なんて全然ないと思われる内容なんですけど、この経済コラムマガジン、いつも面白い。 …日本は、高度経済成長期、今日の新興国と全く違う方法で経済成長を達成した。外資を徹底的に拒否しながら経済が大きく伸びたのである。ちょうど当時、資本の自由化が進行し(米国から迫られた)、外資に日本企業が乗っ取られるのではないかという危惧があった。そこで通産省は、自動車や電機業界の再編を進め、経営体質の強化を図った。 特に自動車会社は、数が多く、競争力が弱いと判断された。まず日産とプリンスが合併した。また当時二輪車しか作っていなかったホンダ(本田技研)が、四輪車製造に進出することに通産省は徹底的に反対した。自動車業界の競争がさらに激しくなり、経営が脆弱化し、自動車業界が外資に対抗できなくなると考えたからである。 また次世代コンピュータの開発のための重複投資を避けるため、電機業界をいくつかのグループに分けた。例えば富士通と日立は組んで次世代コンピュータの開発を行った(たしかMシリーズ)。このように日本は、外資を徹底的に拒否しながらも、高い経済成長を実現したのである。「外国から投資を受入れなければ経済成長しない」とはまさに虚言・妄言である。 これに関して、最近ではとんでもない詐欺話が横行している。羽田空港施設への外資規制の話である。空港施設への外国からの出資を拒否することが、「けしからん」という話になっている。「外国から積極的に投資を受入れろ」と主張する詐欺師軍団から、日本の閉鎖性を示すものとして「ヤリ玉」に上がっている。 彼等、詐欺師達は、空港施設に外国人の出資を受け入れることが「世界標準」と言っている。しかし世界で空港施設への外国人の出資を自由に認めている国は、英国やベルギーなどわずか4カ国だけである。ほとんどの国は、空港施設などの公共インフラには外資規制を設けている。彼等のセリフは真っ赤な嘘である。 2年前、米国の港湾施設へのアラブ資本の進出が問題になった。ニューヨーク、ボルチモワ、マイアミといった米国の主要6港湾の施設を運営していたのは英国のP&O社であった。ところがUAEドバイのDPW社がこの英国P&O社を買収したのである。つまり米国の主要6港湾の運営がアラブ資本の手に落ちるといった事態に直面した。しかしこれに米国議会は猛然と反対した(港湾の運営がアラブ系になれば、アラブ系のテロリストの侵入チェックが甘くなるという理由)。随分もめたが、最終的にUAEドバイのDPW社は、米国の6港湾を切離して英国のP&O社を買収することにした。 このように港湾や空港という公共施設に対する外資規制は当り前に行われていることである。おかしいのは英国なのである。また米国では金融機関などの経済インフラへの外資の規制も暗黙のうちになされている。08/1/21(第511号)「サブプライム問題の本質」で触れたように、80年代に住友銀行はゴールドマン・サックスに出資したことがある。しかし当時のFRBがこれにいい顔をしなかったので、出資比率を5%に抑えたのである。今日、米国の大手金融機関は、サププライム問題で資本不足に陥り、世界各国から出資を募っている。今後、米政府やFRBが、どこまで中国やアラブの大手金融機関への出資を認めるかが注目される。 以下、株式日記と経済展望より。この記事もすごい力作だ。ちょっとまねはできない。 …これだけの矛盾を抱えているのであるから、アメリカの巨大な対外債務という不均衡が修正される日も、そう遠くないように思われる。だが、ドルの暴落という形で不均衡が調整されるという事態を恐れる各国政府は、ドル暴落を回避するためには、手段を選ばない構えだ。とはいえ・どこの国も政府財政は破綻寸前、金利は史上最低水準というなかで、伝統的な政策オプションはほとんど使い尽くされている。さらに、先進国と発展途上国の間の賃金格差があまりに巨大であることを思えば、プラザ合意式の為替による調整も、今度は無力と思われる。 となると、「異端的な金融政策」が採用される可能性が強まってくる。いや、実際に、実はいたって大胆な実験がすでに進行中かもしれないのである。 最初に言ったように、二〇〇三年半ばに、連邦準備制度理事会は、紙幣を刷って国債を購入し、金利を低下させるつもりだと言明した。この発言を受けて、一〇年もののアメリカ国債の利回りは、三・.一パーセントまで低下した。そして、連邦準備制度理事会が「真意は別のところにある」と突然に前言を撤回するや否や、一〇年もの国債の利回りは、今度は逆に四・六パーセントまで急上昇した。 この時は、連邦準備制度理事会が誰の目にも一貫性を欠いたシグナルを発したために、多くの投資家が多額の損失を出すこととなった。それ以来、アメリカの通貨当局が「異端的な金融政策」について言及することは一度もなかった。金利は下がらず、アメリカにおける消費ブームの源泉となってきた住宅ローンの借り換えブームは、徐々に窒息しつつあった。 ところが、今度は日銀がアメリカ連邦準備制度理事会にかわってアメリカの金利を下げるための「異端的な金融政策」に乗り出した。すでに述べたように、二〇〇三年の初頭からこのかたで、日本の財務省は二五〇〇億ドル(日本のGDPのおよそ四・五パーセント)分の債務を積み増して、日銀のドル買い介入の原資を捻出したようなのである。 では、日銀が購入したドルは、どこに投じられたのだろうか?どうやら、日銀マネーは、アメリカ国債の購入に用いられたようなのだ。 二〇〇四年一月には、アメリカの一〇年もの国債の金利は、四・四パーセントから三・九ニパーセントまで下がった。同じ月、日銀は外為市場で六七〇億ドルを購入したと報じられた。それだけのドルがアメリカ国債購入にまわったとすれば(おそらく、そうなのだが)、この金利低下は容易に説明がつく。もちろん、日本の政策当局者がそれだけの金を注ぎこんだ真の目的が、公式発表の通り、円高をおさえこむためなのか、それとも「異端的な金融政策」、つまりアメリカの金利を押し下げ(連邦準備制度理事会の同意のもとでか否かは、さておくとして)、アメリカの消費ブームを維持するためだったのかは、神のみぞ知るである。 今や景気維持・浮揚のための伝統的な政策手法は、使い尽くされてしまっている。だからといって、各国政府があきらめると考えるのは、早計だ。史上最大の世界経済の不均衡が、あとどれだけ続くのかも、何がきっかけで史上最大の信用バブルがはじけるのかも、不明である。とはいえ、バブルの常として、終わりが訪れることは間違いない。一分あたり百万ドルというスピードで増えつつあるアメリカの経常収支赤字も、ついには修正される日が訪れ、ドルは中国と日本をはじめとするアメリカの貿易相手国すべての通貨に対して大幅に切り下げられるだろう。そのとき、ドルは資産と呼べるありとあらゆるもの、金、一次産品、不動産に対しても、大きく価値を失うものと思われる。 この調整によって、ドル本位制の時代が終わりを告げることになるだろう。そして、世界中の政策当局者が素早く行動を起こして、アメリカの年間五〇〇〇億ドルの経常収支赤字に匹敵する輸入需要を生み出さない限り、ドル本位制の崩壊は大恐慌以来最悪の、長期にわたる世界的な経済停滞をもたらすことになる。本書の最終部は、その最悪の事態を回避するための政策提言となっている… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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