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カテゴリ:生活
副島隆彦「連鎖する大暴落」を読了。強調していたのは、シカゴのCME先物市場の出鱈目さ。世の中、仕組んだほうが勝ち組だ。裏づける情報を見つけたので、引用しておく。全部は無理だが、詳細はリンク先を見てもらいたい。消された伝統の復権より福井日記 No.169 レオ・メラメッド。
…しかし、そうだろうか。固定相場が維持されておれば、通貨に関する費用はゼロなのである。そのような安定的な体制が、自由なものではないという理由で崩され、変動相場制への移行という正しい選択がなされた。しかし、いざ、変動相場制になってみれば、通貨価格が激動するようになった。つまり、通貨を確保する費用が激増するようになった。せめて費用を小さくするために、先物が必要になるというのである。 しかし、これら論点搾取である。固定相場を維持しておればいいではないか。なぜ、維持しないのか。メラミッドの答えは、固定相場制には規制がつきまとうからであるというものである。ここには、通貨先物取引によって、大きな稼ぎ口ができるとの私的利益確保の意図を読み取れる。 確かに、固定相場制の維持には規制が必要である。規制は米国とその他の国の共同で行われる。米国は、流出した自国通貨のドルを他国の通貨当局が米国につきつけて金兌換を要求してくればそれに応じる。そのためにも、米国はドルが海外に大量に流出しないように、国際収支に気をつけなければならない。もとより、他国が貿易取引をするのに必要なドル(国際流動性と呼ばれる)が供給され得る程度に国際収支は赤字にしておかなければならない。しかし、その赤字も野放図な大きさになってはならない。つまり、米国は通貨と貿易の両面で節度を維持しなければならない。ブレトンウッズにはそうした約束事があった。 他方で、米国以外の国は、ドルと自国通貨との交換レートを固定的に維持しなければならない。これは、通貨当局がドルを売買することによって行うものである。 具体的には、貿易黒字のケースでは、ドル手形(ドル請求権)を売って円に換えようとする傾向が生まれるので、ドルが対円で安くなる。事態を放置すれば固定相場を維持できない。従って、日本では日銀が大蔵省の依頼を受けて円売り・ドル買いで対応する。この場合、市場に円が放出されるので、インフレーション圧力が生まれる。逆の場合は逆である。 貿易赤字のケースでは、ドル手形の国内需要が増える。つまり、ドル高・円安になる。これに対応するには、日銀はドル売り・円買いで対応する。この場合、デフレーション圧力が生まれる。インフレーションとデフレーションの圧力に耐えることが他国の約束事であった。 しかし、この約束事はお互いに守ることができなかった。実際には、米国はドルの垂れ流しを止めなかった。諸外国は生産面で国際競争力を失いつつある米国の市場に殺到し、自国周辺との分業による相互の市場提供にそれほどの努力を払わなかった。米国も諸外国も節度を失っていたのである… 以上、本山美彦京都大学名誉教授の指摘だ。副島によれば、メラミッドの作ったCME先物市場は、談合で価格操縦を行なっているということだ。市場関係者はうすうす感じていることらしい。本山美彦によるメラミッドの略歴で締めくくっておこう。読めばわかるが、本山もメラミッドを痛罵している。やばいよ、CME先物市場。金価格も穀物価格も為替レートも原油価格も談合で恣意的に値づけされている。副島によれば、そうはさせじと、欧州勢=ロスチャイルド連合が対抗しようとしているとのことだ。まあどっちもどっちだが、まだロスチャイルドの方が若干上品かなというくらいの微妙な差だろう。 …NHKもメラミッドの生い立ちを詳しく紹介しているが、私も、ウェブサイトのメラメッドの自伝で落ち穂拾いをしておこう。 彼は、一九三二年、ポーランドのユダヤ人家庭に生まれた。元々の姓はメラムドビッチ(Melamdovich)であった。一九三九年、在リトアニア(Lithuania)日本総領事の杉原千畝(すぎはら・ちうね)に「救命通過ビザ」(life-saving transit visa)を家族は発行してもらい、シベリア経由で日本の敦賀に脱出することに成功する。太平洋を渡って一九四一年春に米国に到着、そしてシカゴに落ち着いた。ずっと法律家として生活してきた。 幼児時代の逃亡生活で、数学教師であった父(アイザック=Issac)や兄から通貨の公的レートは絶対に信用するな、どこの国にもブラック・マーケットがあるのだから、そこで通貨の交換をするようにと教えられてきた。彼の回想によれば、日本の難民局(the Refugee Committee)は、到着した難民を利用してちゃっかり闇で儲けていたという。つまり、ユダヤ人たちは、日本から出て行かなければならないが、そのために、出国ビザ(exit visa)を発行してもらうには、五〇〇〇円を銀行に支払って公的レートで五〇ドルを買わなければならなかった。その五〇ドルは難民局に預託された。なんと、難民局はその五〇ドルを闇市場に流し、五〇〇〇円よりもはるかに多い円を獲得したのである。 そして、当のユダヤ人家族が出国するさいに、五〇〇〇円を返却した。難民局はかなりの差額を手にしたのである。それはメラメッドのウェブサイトの自伝で紹介されているのであるが、彼は、難民局はその儲けで次に流入する難民救済に使ったと弁護している。どのような局面においても、闇市場の方が、権力よりも民衆には有利なレートであることを、彼は、強調したいのであろう。 ユダヤ人の塗炭の苦しみの経験からくる権力への憎悪。それは分かる。しかし、彼らは米国の権力にはすがる。その同じ彼らが、逆に外国政府の権力行使を強く排除するのである。ご都合主義的な反権力論=市民論である… お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 1, 2008 08:39:02 PM
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