劒岳 点の記
新田次郎の同名小説を原作とする、「劒岳 点の記」。【ポイント6倍対象商品】劔岳 点の記 メモリアル・エディション価格:2,699円(税込、送料別) 劒岳は、立山連峰に属する山である。標高2999m。古来より、山岳信仰の中心地であり、登ることの許されなかった山だ。そして、日本最後の地図上の空白地帯であった。時代は、明治末期。日本地図を完成させるために、前人未到の劒岳への登頂に挑んだ男たちがいた。この映画は、劒岳の測量に命を懸けた、柴崎芳太郎を初めとする男たちの物語だ。 ところで、この映画で行われている測量は、三角測量と呼ばれているものである。既存の2点(三角点)を基準に、一片とその両端の角が分かれば三角形が定まるという性質を利用して、測量を行うものだ。なお、「点の記」とは、三角点などの基準点の記録のことを言う。劒岳の測量を行うためには、その山頂に三角点を設置する必要がある。しかし、劒岳の自然は、登頂する者に牙をむき、人間を寄せ付かない。雄大で美しく、そして厳しい立山連峰の風景がこの映画の一番の見どころだろう。 大自然の前では、人間の思惑なんてちっぽけなものだ。だから、自然の雄大さ、恐ろしさの前では、人間は謙虚になれる。最初は、若造のくせに、地元の案内人たちに対してえらぶったようなところもあった生田も次第に、態度が変わっていく。登頂を競っていた小島たち日本山岳会のメンバーとも最後には山の仲間として互いに讃えあう。まさに感動的だ。 しかし、剣山の登頂成功に対して、この困難な測量の命令を下した陸軍測量部の上層部の態度は冷たかった。山頂から修験者の錫杖が見つかったためだ。すなわち、劒岳は前人未到ではなかったということだ。面子にこだわる上層部の態度は、現場を知らないものが、いかに現場感覚から乖離しているかの良い見本だろう。こういったことは、案外と現代のビジネス界でも多いのではないろうか。 (原作)・新田次郎:「劒岳 点の記」 (監督)・木村大作(出演)・浅野忠信(柴崎芳太郎)・香川照之(宇治長次郎)・松田龍平(生田信)・仲村トオル(小島烏水)・宮崎あおい(柴崎葉津よ) ほか○ランキング今何位? ○姉妹ブログ・「文理両道」・「本の宇宙(そら)」○関連ブログ記事・浅沼ヒロシの書評ブログ 晴読雨読日記 ・シネマをぶった切りっ!!・FREE TIME