十三の墓標(TVドラマ版)
「あひにあひて物おもふ春はかひもなし花も霞も目にし立たねば」(和泉式部) 昨日の夜は、フジテレビ系の金曜プレステージで「十三の墓標」を観た。和泉式部をモチーフにした、内田康夫原作の旅情サスペンスだ。内田作品と言えば、浅見光彦シリーズが有名だが、この作品は、近藤真彦が主役を務める、警視庁きっての名探偵岡部警部シリーズの第3弾にあたる。●「十三の墓標(原作)」(内田康夫:実業之日本社) & 「和泉式部百首全釈」(久保木寿子:風間書房) ある日、警視庁に、山代真央(八木優希)と名乗る小さな少女が尋ねてくる。通りかかった岡部警部(近藤真彦)と神谷部長刑事(泉谷しげる)が少女に事情を聞くと、父親が昨日から帰ってこないとのこと。原作では、少女が尋ねて来るのは岡部警部の部下の坂口刑事で、少女は坂口刑事の姉夫婦の娘、つまり彼の姪という設定だったが、ドラマではだいぶ変わっている。そういえば、少女の名前も原作では山本和代だった。 また、原作では、実質的な主人公は、坂口刑事であったが、それでは、テレビドラマが成り立たないのだろう。ドラマは、岡部警部と神谷部長刑事が中心の作りになっていた。 細かい設定は色々変わっているが、大筋は、原作と同じであった。山城家を訪ねた岡部が、別室で寝込んでいた山代栄作(竜 雷太)に、わざと聞こえるように、痛烈な皮肉を言っていたのが、なんとも面白かった。舞台となった宮津や餘部の風景は、昔訪れたこともあり、懐かしい思いだ。 それにしても、山代真央役の子役・八木優希は小さいのに演技がすごい。出演者の中で一番目立っていた。泉谷しげるは、かってのフォーク界の暴れん坊的なキャラから、最近は完全に名バイプレーヤーとしての地位を確立している。でも、岡部警部がマッチというのは、相変わらず違和感がある。好みの問題かもしれないが。 (監督) ・武藤数顕(出演)・近藤真彦(岡部和雄) ・泉谷しげる(神谷部長刑事) ・石橋 保(山代民夫)・八木優希(山代真央) ・戸田菜穂(山代八重子) ・竜 雷太(山代栄作)ほか ○内田康夫原作「十三の墓標」の記事はこちら○応援クリックお願いします。 *** お知らせ ***●風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」の今日の記事は,「エヴァ・ライカーの記憶」のレビューです。この作品はタイタニックをモチーフにした、とても面白いミステリーです。「本の宇宙(そら)」専用の記事となっていますので是非読んでみてください。風と雲の郷 別館「文理両道」はこちら風と雲の郷 貴賓館「本の宇宙(そら)」はこちら