|
カテゴリ:小説風
人に、人生を選ぶ権利はない・・・
選べる力はない・・・ ただ、方角も知らない方へと歩くことだけはできる・・・ 俺の父親が、もっとマシな男だったら・・・ 望むものは『普通』だったんだ・・・ それ以上はいらない・・・ ただ、どこにでもいる父親を演じてくれるだけでもよかったんだ・・・ 実家に帰った翌日に、病院から電話があった。 元・親父が心臓の手術をするため、手術前に会いたいと言っていると言うものだった。 何を今更、父親をするんだ・・・。 あんたはもう他人なんだ。俺は、あんたのことを父親と思わない。 あんたは、母と離婚する前にだけ、父親面をして株を上げようとしていた。 「どこにいきたい?何が欲しい?」 「・・・・キャッチボールしたい・・・。」 そういうしかないじゃないか・・・。 あんたは、勝手に仕事をやめて、母親に内緒で借金を作ってはギャンブルに使い 終いには、祖父に泣きつき 哀れに思った祖父がそれを返済して そして、懲りずに借金を繰り返す。 そんな、あんたに好きなことを言える訳がないじゃないか。 それに、あんた一度もキャッチボールなんかしてくれなかった。 キャッチボールだけでよかったのに・・・見栄張って・・・。 「・・・じゃ、面白いところいくか?!」 そういうと、あんたは勝手に俺を連れて行った。 場所は、何回か来たことのあった有名な釣堀だった。 戸惑う俺は、ちっとも面白くなかった・・・。 釣った魚を買って、夜焼いてもらったが 少しも美味しいとは思わなかった・・・。 あんたは、最後の日も夕食の時間には一緒にいてくれなかった。 そんなあんたを今更父親と思えるわけがないじゃないか・・・ ただ普通でいいんだよ・・・・。 母や、祖父と仲良くやってくれて 夕食の時間に帰ってきてくれて 土日は、1時間でも2時間でも一緒に遊んでくれるだけでよかったんだ・・・ あんたは勝手だよ 普通で・・・・ 普通の親父でいてさえくれれば良かったんだ・・・ そんなアイツも、母が入院した時は病院に毎日のように顔を出していた。 決して、アイツは真面目な人間じゃない。 なのに、アイツは母を心配していた。 何故、そこまで愛していたのに 少しでも、変ろうとしなかったのだろうか 人は決して望む運命にはたどり着ける保証はない だが、すこしづつ間違いを直していけばたどり着くこともある 消えない傷も、癒えない傷も ハンデなんだ 人より少し辛くても 乗り切れば その先にあるのは最高の未来だから お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.01.11 23:21:53
コメント(0) | コメントを書く |