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カテゴリ:読書
『LAST』
著者 石田衣良 発行 講談社文庫 これまた1年前の娘出産時、入院中に患者図書室で借りて読みました。 ダークなテーマの短編8編収録。 全て「ラスト」で始まるタイトル。 1話めの「ラストライド」。 街金にまで借金をし、どうにも首が回らなくなった製本業者が堕ちた闇金地獄。 かな~り切羽詰った追い込みをかけられていた主人公が、いよいよ極悪業者の手に堕ちて 24時間以内に娘と妻を闇風俗に売り飛ばすか、自殺して生命保険金で全ての借金を返済するかを迫られる。 業者の台詞回しは相当えげつないし、登場するもう一人の被害者(現在は闇金業者の使い走り)にまたまた凄まじい提案をされる。 かなりハードな内容のはずなんだけど。 にっちもさっちも行かない主人公のラストの心中が・・・なんか甘い。 おいおい、あんたここまできてまだ現実みてないんとちゃうか?と思えてしまうような甘さっぷり・・・とことんまで現実の残酷さを描いているのに、どこか切れ味が鈍い。ノワールにならない。 この甘さが石田ワールドなんかなぁ・・・ちょい違和感あるなぁ。 で続いて「ラストジョブ」 これは住宅ローンの返済をサラ金で埋めたことからローン地獄に追い込まれた主婦が、出会い系サイトで知り合った障害者とセックスして、擦り切れていた日常から女性としての自信を取り戻し、イキイキしちゃって障害者向けセックスボランティアとして働くことになるというお話。 なんかなぁ・・・プリティウーマンしかり、男は結局娼婦に甘い夢を見るのか?? 個人的に生物の法則にのっとって、女性が繁殖の相手を選ぶべきだと思っている私は、こういう娼婦を崇めるようなストーリーは納得しづらい。 そこに障害者の性の問題を絡めてこられるとすんごくなんだか気に入らない。 この2作品は私的にダメダメ、サイコホラーっぽい「ラストコール」、最後に一発逆転の「ラストドロー」はOK。 しかし、どうもどうも私は石田衣良作品とは合わないのではないか??という懸念がどんどん強まって参りましたぞよ~。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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