今日のヘンな人

　先日、自己啓発マニアの知人からお手紙を頂いた。大した付き合いでもないのに、何なんだろうと思って開封してみると、なんだかよく分からないセミナーの招待状だった。

　勘弁してよーと思い、そのまま捨ててしまったのだが、その後またまた封書が届いて、次回セミナーのお知らせが……

　しつこいなあ、と思いながらも、今度は手紙が同封されていたので読んでみると、なんと、そのセミナーの講師は、知人その人なのだった。

　確かにその人は、自己啓発系の書物を読みあさり、良いと言われるセミナーには、かなり宗教がかったり、念力がかったり、オカルト風味だったりしても、万難を排して参加していた。しかし、いつの間にか自分がセミナーする人になっちゃったんだ？？？

　次回招待状にくっついていたお手紙によれば、第一回のセミナーは大盛況だったそうだ。終了した後は、感激した人々に質問攻めになり、感謝の言葉を多数頂いた、と言うのだが、本当かね？　質問攻めっていうのは、それ、責められてたりしたんじゃない？

　その人は若干気の弱い、それゆえにより良い自己を夢見てセミナー通いを続ける、ごく普通の会社員だったのだが、来年には退職して、スピリチュアルな会社を作るのだそうだ。

　仲間たちもみな、応援してくれています、って手紙には書いてあったけど、あまり友達もいなかったその人に、現在どんな仲間がいるのだろうかと、ちょっとだけ気になった。

　きっと、似たように暗い、人付き合いの悪い人たちなのかも。そしてそういう人たちの間では、その人はアタマ一個分抜け出た、立派な指導者なのかもしれない。

　いずれにせよ、次回セミナーは結構立派な会場を借りてやるようだ。ウツワの立派さに惑わされて、セミナーマニアの人がひっかかる、という確率も高そう。そうやってヒトは、インチキ先生へと進化を遂げていくのかもしれない。