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テーマ:株式投資日記(20537)
カテゴリ:コーポレートガバナンス
しばらくこのネタから距離を置こうと思っていましたが・・・。事実を直視しなければなりません。
あまりこのブログを政治的にしたくないのですが、以下の報道にがっかりしたので。 以下の3つの記事を読み比べてください。たいした英語ではありません(このブログを読んでいただける方であれば)。
1:EU通商担当「日本政府の判断尊重」・Jパワー株買い増し問題 欧州連合(EU)のマンデルソン委員(通商担当)は21日、東京都内で講演後の質疑応答で、日本政府が英投資ファンドにJパワー株買い増し中止を勧告したことについて「日本政府の判断を尊重している」と述べた。ただ「大事なことは日本が透明性の高い形で判断の正当化を徹底することだ」とも語り、日本政府が十分に説明責任を果たすべきだとの考えも示した。 英投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)はEUがこの問題を政府間で取り上げるよう求める意向だが、マンデルソン氏は「書簡を受け取ったばかりで検討の時間はない」「どのような適切な行動の可能性があるのか検討したい」などと指摘するにとどめた。 (日経ネット http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080421AT3S2101A21042008.html ) (朝日ネットも同様 http://www.asahi.com/business/update/0421/TKY200804210304.html )
2:Mandelson raps Tokyo on investment barriers (raps:たぶん、非難するだと思われる)
Japan is "the most closed investment market in the developed world" despite the fact that Japanese companies take full advantage of open investment environments in other countries, Peter Mandelson, EU trade commissioner, said in Tokyo on Monday. (以下文が続きますが、上記が第一パラグラフです) マンデルソン委員は東京の投資障壁を非難した。 日本は、他国への解放された投資環境を最大限に利用しながら、「先進国で最も閉ざされた投資環境にある」 と述べた。 とこんな感じでしょうね。 FT.com http://www.ft.com/cms/s/0/15c7525c-0f63-11dd-8871-0000779fd2ac.html David Pillingという人が記者
3:EU's Mandelson Urges Japan to Allow More Investment European Union Trade Commissioner Peter Mandelson said Japan is the developed world's ``most closed'' market and needs to allow more investment from abroad. (同じく第一パラグラフ、以下続く) Bloomberg.com http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=newsarchive&sid=adhhiz5ycEpc EUのマンデルソンルは、日本にもっと投資を許容するよう駆り立てた EUの通商担当である、ピーターマンデルソンは、日本は先進国で、「最も閉ざされた」マーケットで海外からの投資をもっと許容すべきだと述べた。
そして、FT.ComとBloombergのマンデルソン氏の日本政府のJパワー問題への対応には「尊重した」という冒頭の文言は紹介されなかった。論調としては、「もっとも閉ざされた先進国」の発言はTCIへの勧告決定の後の通商担当の発言でであり、「透明性の欠如と海外投資家を歓迎しない」政府の方針を非難している、という風にマンデルソン氏の発言を解釈している。 (一応、英字新聞には日本のEUの投資約1ドルに対し、ユーロ諸国は3セントしか投資できていないなど定量的な実績が述べられていますが、第一パラグラフが結論と考えると、時期的にJパワー問題がこういった発言を誘発したと英字新聞はほのめかしています) マンデルソン氏の講演内容が不明なので、客観的にいえないが、どうして日本と英米の論調がこうも違うのか? 特に、the most closed investment market in the developed world というフレーズは引用でしょうから、これを報道しない日経、朝日は何を聞いていたんだ?まさか、英語聞き取れませんでした、とか言い訳するのではないだろうな。
日本人が聞いて、耳障りにならないことだけ報道しているとしか思えない。まるで大日本本営発表だ。いつも大きな声で言論の自由をお叫びになられる、朝日さんもどうしたのだろう(もっとも朝刊を見ない段階だが)
配当の件 それと、くどいが、「TCIは買い増しがダメなら、配当増に打って出て、化けの皮がはがれた」 という論調はあきれ返る。元々増配以下の事項を要求していて、経営陣がまったく動かないから買い増しで発言権を強めようとしていただけで、目的は初めから株主提案を通すことにあったのだ。 「配当倍増はけしからん」、という論調は以下の事実を見てから言って欲しい。これはJパワーの有価証券報告書単体決算内訳のうち、長期投資勘定で、株式の内訳の推移です。
06年3期から07年3期にかけて、株式取得が急増している。このころはTCIが買い増しをしていた時期だ。そして07年3月から4月に株主提案した、60円配当の2倍の120円配当は約200億円の配当金総額となる。増配分だと、その半分なので100億円分だ。 しかし、Jパワーは07/3期には208億円かけて株式投資をしており、中でも新日鉄や三菱重工、清水建設の株式を取得しているにもかかわらず、「国家安全のため」、「設備投資、安全配電のため」と称して配当しなかった。これは重大な忠実義務違反にならないのか??? 200億円は大きい。 Jパワー経営陣が「予定外の株式投資をしてしまったので、配当のキャッシュフローがありません」というなら話は別だ。 さらに70%の株主は、この事実に気づかず、Jパワー経営陣に賛成してしまったのだ。これが残念。 Jパワーの株主は新日鉄に投資したのだろうか?さえないゼネコンに投資したのだろうか?ゼネコンに投資するとわかっていればJパワーの株なんて買っていない、という人も要るだろう。 07年3月現在の時価が686億円なので、これを大半売却すれば自社株買戻し資金が捻出できるというわけだ(ただし、30%近く値下がりしているが)。 そもそも持ち合いをしなければ取引を保てないというのは理由になるのか?(今まで三菱重工とまったく取引がなかったということはないはずだし、IHIや東芝といったところにも取引はあるのだろう。JFEとは取引しないのか?) 持合と取引は関係ない、とすべきだろう。そんなに心配なら社外取締役になってもらえばいいのだ。 最後に外為審議会の審議委員。 「御用学者」 と陰口を叩かれているメンバーを見て、「おや」と思った人はかなりの買収防衛策通です(会社法通)。 http://www.mof.go.jp/singikai/kanzegaita/meiboh.htm
あえて個人名を挙げないが、企業価値を向上しましょう、そのために株主との対話を重視しましょうといってる人がいます。がっかりです。私は買収防衛策事前警告型にはネガティブながら、一応支持をしておりましたが、がっかりですね。まあこの中では発言権が小さいかもしれませんが、企業価値を向上する可能性の高い提案なのに、経産省のシナリオどおりの結論しか出せなかったことに残念。 審議会の方、上記持ち株のことを少しでも計算できれば、JパワーはTCIの指摘するROE水準に近づくことが出来たのですよ(そもそも、なぜ投資家が企業にいちいち、ROE10%の実現方法を具体的に提示しなければならないのか皆目検討がつかない。 部長に、「10売って来い」と命令されて、「どうやって売るのですか」と部下の営業マンが質問するようなものだろう。新人ならいざ知らず。)
「いろんな意見があっていい」という方も第三者的にはいるだろう。しかし、事実を見ないで言う人がいるので失望して書いたまで。 次回からはJパワーのこれからの対応またはTCIの動きを追いかけたい。
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Last updated
2008/04/22 02:06:41 AM
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