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カテゴリ:破綻・再生
宴のあと リーマンブラザーズは米国本社のチャプターイレブン(破産法と言われているが、日本の民事再生と会社更生の中間ぐらいの位置づけで、要するに債権金額の確定には時間をかけるものの、破たん直後の営業については当面、現経営陣が行うことを認めるといった感じでしょうか)を申請したのに伴い、日本法人でも民事再生を申請した。 な、なんと、負債総額3兆4 協栄生命は金融庁の何とか法に基づく破たん処理だった記憶があるが、本件は通常のいわゆる倒産法体系の範囲内での処理ということであり、3.4 民事再生にしたのは、申しで後、即開始決定を得て、金融システムの混乱を最小限にしたかったからではないだろうか?(会社更生だと開始決定を受けるまで、1週間以上かかると言われている。開始決定を受けると、棚上げした債権は更生計画または再生計画の中でしか取り立てができないため、とりあえず混乱を避けれる) 民事再生では通常、開始決定後から3~6か月で再生計画の認可を得なければ破産に推移することになっているが、3.4 したがって、この後、会社更生に切り替わるのではないだろうか?はじめ民事再生でのちに会社更生になったのは、あのマイカルの例がある(マイカルとリーマンでは事情が全く違うが)。
弁護士でもないのだが、民事再生をざっくり言うと、申し立て後はその時点での負債はいったん棚上げにして、再生計画という計画の中で、申し立て時点の負債の一部分を免除してほしい、残りは返済いたしますから、という立て付けで債権者に理解を求めるというのを法律で定めている。 したがって、免除してもらわない部分は当該企業の将来のCFや資産処分などで返済しないといけないため、その企業が健全に事業再開することを前提としている、すなわち、「再生」するということになる。 したがって、その企業または事業がうまく再生できるかは、如何に負債を少なくてすませるかということになり、たくさん返済してほしい債権者と荷物を軽くしたくなる経営陣との利害が対立することになる(大半は、棚上げ債権の返済より、仕入先であれば取引の継続を望むので、債権者は文字通り「泣き寝入り」をする。しかし、債権者も「経営責任」を強く望むことが増えているという。まあ当然か)。 しかし、では、その時点で誰が・いくらの債権者なのかを確定する作業は結構骨の折れること間違いなし。ふつーの事業会社の場合、民事再生を申し立てる、という場合、仕入先は信用供与しなくなる(要するに仕入先にしてみれば、手形決済何ぞもってのほか、買掛金のサイトを限りなく小さくする)ので、申したてた側の経理部は一時的に支払業務が超多忙になる。そのうえ、債権確定作業という、債権者から「俺はあんたにこれだけ債権があるから、ちゃんと覚えてくれよ」という債権届け出書が来る。それに対し、会社は「確かに当社の負債です」と認定作業を行う。この付き合わせ作業も膨大極まりなしで、経理部員の仕事になるケースが多い。 リーマンの場合、マーケットで資金の出し入れを行っているはずなので、市場関係者がそんな一時点の資金のために立ち返る作業って想像つかない。かつ金額も金額なので日本法人の人でもてんてこ舞いじゃないか? また、再生計画といっても日本独自で決められるようにも考えられず、米国本社のスポンサーがだれになるかに左右されるのでしょうか?(もっとも日本の金融機関が今リーマンの日本法人への買収に名乗りを上げれば、理論的には超格安になるかもしれない。民事再生の弁済率、要するに債権認定作業を得た棚上げ債権の実際の返済率、は数%が相場である。荷物は軽い方が車は早くなるロジックですね)。 倒産法、再生事業に関心のある方は今回のリーマンの民事再生はちょっと日本の倒産法にとって新たな1ページを刻むかもしれない、多分、将来を含め民事再生法史上最大の破たんだろう、と個人的に思っています。ひょっとして民事再生法を改正しなければならないぐらいのことになるのかな?(そんなことすると会社更生法派が黙っていなさそうですが) 案外、速攻でスポンサーが決まって、民事再生で決着がつくとこれはすごい。しかし、もし仮に破たんしてから野村とか三菱とか破たん前に名が挙がっていた金融機関が買収したら、それはそれで、うーん、と思う。推移を見守っていくことにする。
尚、日本法人の社長は早期に日本の資産については国内のスポンサーを見つけると言ったそうです。 桂木社長の言葉がジーンときます「日本の従業員1300人の雇用を守るため、早急にスポンサーを見つけたい」。 一方、ニューヨークではリーマンとメリルの失業者であふれかえると言われています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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