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元・経営コンサルタントの投資日記

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2010/01/14
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カテゴリ:破綻・再生
戦略的デフォルトの恐れが日経ビジネスオンラインの勝藤さんのコラムで取り上げられています。

意図的なローン延滞が増えている

(リンクで記事を読む場合、個人情報の登録をしなければならないかもしれません)

堀古さんも、講演で、レバレッジ5倍の人の破綻、といって同じ意味のことを毎回取り上げておられます。

 

要するに、返済能力がありながら、住宅価格の下落によって、債務超過に陥ったローン債権者が、自発的に債務不履行を宣言して、家を銀行に差し出すという行為です。

 

私は、債務超過の度合いやその人のバックグラウンド次第じゃないかと思います。そして、それがマクロ経済には大きく影響を及ぼさないと思います。同コラムでもそういったデフォルト行動を起こす人の特徴が記載されていました。

 

アメリカの住宅ローンはノンリコースと言われており、要するに個人が債務保証しなくてもよい仕組みになっていると言われています。

家を銀行に差し出してしまえば、銀行はその住宅を競売した後の取っぱぐれを個人に追及ができないことになっているということです。

日本なら、最悪給与を差し押さえて、給与の一定額の返済まで持ち込む場合もありますが、多分、自己破産すれば解決するように思います。

(したがってアメリカと結果的に同じ。デフォルトすれば当然クレジットスコアが悪化し、次回の融資審査で大きく不利益を被る)

堀古さんの話では、すべての州でノンリコースとなっているわけではなく、州によっては日本のような個人保証制度が採用されているところもあり、その比率は約半分程度だと言っておられました。

肝心のカルフォリニア州の制度がどっちかわかりませんが、米国全体でとらえるより、カルフォリニアが全体の延滞の2.5割を占めていると言われているので、同州の影響が大きく左右すると思います(ついでにフロリダと合わせれば、延滞ローンの約40%に達する)。

 

しかし、いくら合理的とはいえ、日本でも債務超過のまま返済し続けている人はたくさんいますし、そう簡単にデフォルト出来るのか、半信半疑です。

「アメリカ人は考え方が違う。」

 

とよく言いますが、そのアメリカのAP通信の記事でも

子供がいて、妻の近所づきあいが軌道に乗ったにもかかわらず、子供の転校を伴うような引っ越しをわざわざ行うアメリカ人がどれほどいるのか、という記載がありました。

娘が、「パパ、なぜ引っ越ししなければならないの?」 と質問されて、うまく回答できるパパはアメリカでも少数派であろう、と結論付けていました。同じような推測は、豪州人のJohn Hampton(ヘッジファンドマネージャー)も言っています。

 

ケーススタディとして、

年収10万ドル、家の買った価格が2007年のピークで50万ドル、住宅ローンは45万ドルだったとします。9割ローンです。

家族は、夫婦に小学校に通う子供が2人。夫が40代~50代。

今、家の価値が35万ドル(ピークから概ね3割減が相場)、住宅ローンは42万ドルとすれば、債務超過額は7万ドル程度です。

年収10万ドル、債務超過7万ドルで、将来のクレジットスコアに傷をつけるデフォルトを積極的に展開するでしょうか? 

子供の養育や(米国では)高騰する医療費などを考えると、こういう時期(クレジッドクランチ)だからこそ、クレジットスコアは良い点をキープしたくなるように思いますが。

 

もし合理的に考えるのなら、目先の債務超過より、長期的なクレジットスコアの安定性を考えたほうが、個人の長期的な資金調達環境にとってプラスですし、不安定な世の中だからこそ、クレジットスコアをきれいにすべきだと思いますがいかがでしょうか?

借換支援プログラム(あんまり機能していなさそうですが)ほか、借り換え需要が多いのもそのような要因だと思われます。

 

しかし、

年収10万ドル、2007年に家を70万ドル、金利のみ5年支払、ローン残高70万ドル、現在の家の価値50万ドルで、年齢は30代半ば、夫婦共働き、あるいは、独身だったりすると、戦略的な行動は可能性が出てくるかもしれません。

 

この場合、無謀だった過去の清算ということになりそうです。若気の至りは取り返すチャンスがあるのでしょう。

その場合でも、アメリカ人得意のクレジットカード使用に難が出てきそうですね。

 

したがって、そのような人は存在するが、住宅価格に決定的なインパクトを与えるような要因にはなりにくい、と思います(戦略的ですから、安定収入は今でも確保されているのですよ)。

雇用が回復するということは、住宅ローンを払いたくなくなる最大の要因が治癒されつつあるということでしょう。

勝藤さんの言いたいことは、回復期待の高まる米経済のリスクファクターの認識を持ってもらいたいという程度だと思いました。

私は娘の顔を思い浮かべると、とてもできません。

かつてピーター・リンチが、株を買う前にまず家を買え、といったぐらい住宅神話があった国ですので、今年一杯は価格調整が継続すると思っています。

応援よろしくお願いします。

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Last updated  2010/01/15 12:21:56 AM
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