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元・経営コンサルタントの投資日記

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2010/09/07
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カテゴリ:破綻・再生
以下、毎日JPを抜粋。

 

企業再生ファンド:三井住友、三菱UFJ、政投銀など設立--今月末にも

 ◇最大1000億円

 三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行と日本政策投資銀行、三菱商事が、経営不振に陥っている企業の再生を手がける事業再生ファンドを共同出資で今月末にも設立する方向で最終調整していることが3日、明らかになった。

 不振企業の再生については、経営破綻(はたん)した日本航空などに出資して再生を主導する企業再生支援機構など、国が関与する組織があるが、大手銀行や大手商社がグループの垣根を越えて大型の再生ファンドを発足させるのは、今回が初めて。出資額は300億円程度とする方向で調整しているが、将来的には最大1000億円を目指す。みずほフィナンシャルグループにも参加を打診している。

 支援対象は、技術力や将来性のある事業を持ちながら経営不振で生かし切れていない大手企業が中心になるとみられる。9月4日

 

抜粋終わり--------------------------------------------------------------------

 

この記事に嘘偽りはないでしょう。しかし、銀行が企業再生業務をダイレクト?に手掛ける意味は注視した方が良いと思います。

 

企業が破たんに陥る要因は何にもまして、資金繰りが費えるからです。ダイエーもカネボウもJALも、海の向こうではGMもクライスラーでも例外ではありません。そして、その資金ショートを銀行が融資しなくなるからです。それはそれ以上融資しても意味がないからです。

破たんに至る過程で、大半の企業は過剰な債務(借金)を負っています

 

これが一般的な破たんパターンです。

 

しかし、破たんした企業にも良いところは残っていて、そのよい部分を中心に再構成すれば立ち直る可能性は高くなります。最下位の野球チームでも主力の一部は日本を代表する選手が在籍しているのに似ています(横浜の田村村田とか)。

 

そしてよくないところと、重すぎる荷物を整理すれば、よくなります。

贅肉をそぎ落とすリストラと、返済しきれなくなった借金を軽減することです。

 

クライスラーの再生で、米政府は銀行団に、担保でカバーされている借金の85%のカットを銀行団に飲ませました。ふつう工場などを担保していれば、工場の価値の60%前後は債務カットを銀行は認めませんが(弁済率60%)、政府が圧力をかけて弁済率を15%で押し切りました(当時は米政府が銀行団の株主)。

 

何が言いたいのかと申しますと、企業を再生するためには、抜本的な借金の免除(棒引き!)が必要になります。荷物が軽い車の方が重い車より速く走るのはだれでもわかります。

 

そして、銀行がこの再生業務に取り組むというのは、この記事だけを読むと、利益相反になってしまいます。銀行業としては債権の回収の極大化が預金者や株主への責任であり、ファンド業としてはできるだけ多くの債務免除を勝ち取ることが必要になります。

 

したがって、この記事が意味するところは、経営が悪くなりつつある企業と能力のない経営者の背中をついに銀行が主導で押して、早めに手を打って、再建確実性と貸出金の回収確保を図ろうとするのが目的で、グズグズする経営者は株主権利で処分しようという意図まで見えてきます。

つまり銀行主導の産業再編(三洋電機タイプが増えるのかもしれない)。

 

上場企業なら株主が果たすべき役割を銀行が果たす、ただし銀行・商社の利益になる範囲内で...。銀行が再編時に銀行の利益になるスポンサー企業を優先したりするそんな密室処理を想像してしまいます(サンヨーとパナソニックは住友BKつながりで典型的)。やっぱりガバナンスが効いた株主主導でそういった再編を行ってほしいし、それ以前に経営者が気づけよって感じ。ポツダム宣言を受諾できない大日本本営的な経営者たち。

従業員にとっては、そのほうが雇用の拡大化が図られる可能性もある(業績不振の企業の経営者は最後の最後まで決断できないケースが多い)。そう考えるとこの手のファンドは多少の利益相反は目をつむっても必要悪かもしれない。

 

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Last updated  2010/09/08 09:12:55 AM
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