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テーマ:株式投資日記(20509)
カテゴリ:コーポレートガバナンス
参考記事 FT.Com Welch condemns share price focus これは驚いた。FT(フィナンシャルタイムズ)の取材に対し、かつてのカリスマCEOは 「株主価値創造は結果であって戦略ではない。経営者の主要な有権者は、従業員であり、顧客であり、製品である」 と答えた。
FT自身もウェルチ氏を 「the father of the shareholder value movement」 と形容しているが、そのウェルチ氏自身が株主価値について「a dumb idea 」(ばかげた考え方)と真っ向否定した。 経営陣が四半期決算や株価上昇にあまりにも焦点を当てすぎるのは、「a dumb idea」である。と言っています。短期的な利益は長期的な企業価値の増加を伴ってこそ意味がある、と。
さらに、彼らしく、「shareholder value is the dumbest idea in the world」と切り捨てています。 そのshareholder valueという言葉は1981年に彼自身が、GEのCEOについた直後に発言したものです。 当時「低成長経済下における高成長」というタイトルにおける彼のスピーチ全体の主旨は、「世界経済の成長率以上に成長を成し遂げるためには、低採算事業を売却し、コストカットを進めて、利益を上げることである」というもので、GEは 「GNPを引き上げる機関車であるべきで、最後尾になってはならない」といって、徹底的なリストラを推進していき、GEの株式時価総額を一時世界第一位にまでのしあげ、ウェルチ氏自身も名CEOの名を欲しいままにして一躍時代の寵児となりました。
その彼が今は、「単に株価を上げること(だけ)ではない」 と弁明し、次世代に向けた提案をしようとしています。うーん複雑な心境です。
GEについて ゼネラルエレクトリックは、1月の決算発表の時点で、イメルトCEOは 「配当は維持する、トリプルAも維持できる」 と語ったものの、2月中に60%の減配を行い、3月12日にはスタンダードアンドプアーズが、格付けをAAプラスに格下げしてしまった。二兎追うものは一兎も得ることができなかったのでした。 ゼネラルエレクトリック、二兎追うものは一兎も得ず? たかが格付け、されど格付け09/2/28
この間、GEの株価は当初 「09年の見通しの中で約1.3兆円もの配当を出すのは無理だ。格下げもありうる」 という理由で下落し、減配発表後は 「やっぱりバランスシートは相当棄損しているらしい。配当を維持できないではないか」 ということで、さらに下落が続き、何をやっても株価が下落するなかで、イメルトCEOのリーダーシップに対する投資家の不安が巻き起こっており、GE株は空売りのターゲットとなっていました。 イメルト氏は自ら50万ドルを拠出して、GE株を買い支えたが、焼け石に水でした(50万ドルもポンと出せることもすごいと思う)。 しかし、皮肉にも3月12日にS&Pが格下げを実施したものの、AAプラスを「安定的」としたことにより、一気に株価が急上昇した。投資家は3月2日の政府保証債の発行と、格下がGE株の悪材料出尽し感と判断した模様。
ウェルチ氏 株主価値創造は結果論という前段のご発言は、日本人経営者よりも日本人らしいのではないかと思わせる反面、後段の事業内容の洗い替え的発想が一般的な彼に対する印象でしょう。まあ今となっては、何を言っても金言になってしまう、元ミスターCEOのご発言。ありがたく聞いておくことにしましょう。 わずか1年程前にはこの怒り様だったんですが・・・。変わるものですね。 GEと日立 サブプライムによる「信用の収縮」と「信頼性の問題」 08/4/21 今回の発言は最近のGE株の低迷を擁護する意図があったのかもしれません。
これからの資本主義 FT.com では、Future of capitalism と称して、行き過ぎた株主価値向上への反省といった趣旨の分析を行っており、特にストックオプションや高額役員報酬など儲かればなんでも良いといった米国風資本主義への批判が相次いでおり、企業の存在・役割の見直しを問うています。 次世代を担う50人というのがあり、その中にはオバマ大統領、胡錦涛を始めに政治・経済の世界中の重鎮が居並びます。残念ながら50人のうち、中国人は4人いますが、日本人は白川日銀総裁のみです。また、誰もが知る外国人の中に、日産自動車のカルロス・ゴーン氏がいます。リーダー不在の日本を象徴しています。 Future of Capitalism: 50 people who will frame the debate
株主価値向上といった、偽りの金儲け主義が改められるのか、この定時株主総会では、役員報酬のあり方について、厳しく問いただされそうで、そういった流れは遅かれ早かれ日本に波及するでしょう。日本の経営者は決して高給取りでもないのでやや同情いたしますが、これもグローバライゼーションでしょう。
現実的な資本主義?? しかし、現在は鳴りを潜めていますが、経済が再び回復すると、グローバルマネーはより高い利回りを求めざるを得ません。先進諸国はどこも高齢化に悩まされることになります。低いコストで高い付加価値を生み出さないと、高齢者を養えません。
日本は既に人口減少時代に突入しました。株価さえ上がればいいという発想ではなく、産業の効率化は必然で、高い付加価値の生める産業により資金をシフトすべきで、ゾンビ企業を公的資金で救済されることは時代に逆行しています。会社更生や私的整理で抜本的に資本構造を改善し、産業再編を進めてほしいと思います。過剰競争を止めて、適正競争の元、体力をつけて世界市場で戦う、又は外資を日本に呼び寄せて競争する、というのがいいと思います。 単なる利益創造ではなく、会社が儲からないと個人の所得も本質的には増えません。結局デフレから逃れられないことになり、適正競争は個人の所得増加のためにも必要です。個人の所得が増加しないと福祉税も何もありません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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