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元・経営コンサルタントの投資日記

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2009/04/20
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カテゴリ:破綻・再生
すでに報道にあったとおり、米資産運用会社ブラックロックはPPIP(官民投資プログラム)への参加を表明しており、このたび50~70億ドルの資金調達を始めました。

そのうち10億ドルを日本市場に期待しているとのことです。ざっくり1000億円。

比較的サブプライムローンで傷が浅いと思われている日本ですが、輸出立国となってしまったので、震源地からの遠心力は相当大きく、かなりの経済ダメージを負っています。

日本で手を挙げる人がいるのか、投資信託の様な形で個人にも参加する可能性が取れるのか、現時点ではさっぱりわかりませんが、リスクをあまりとらない日本人の性格からすると10億ドルは高いハードルかもしれません。

 

そもそもの話として、PPIPの詳細はまだ明かされていないこと、PPIP自体が機能する仕組みなのかということに多くの人は疑問を投げかけているので、それを解決する必要がありますね

自分でも、どうやってリターンを出すのかよくわからないこのPPIP、金融機関の出品インセンティブとファンド側のプライシングがかみ合うのかと言う点は謎のままです。

ただ、政府の言いなり状態のCitiの債権はなんとか 「ご馳走」 として召し上がることは出来るかもしれません。

先日JPモルガンはさっさと公的資金も返済するし、PPIPなんかなくても自分で不良債権の処理が出来る。これ以上ボーナスで口出しするな、といったメッセージを市場に投げかけました。したがって迷走が予想されます。

ただし、本当においしい債権は、旧リーマン、メリル、Citiなど、「無理した」 金融機関の債権だと思われます。 

こういった混沌としたなかから高リターンはえてして生まれるのも投資の過去の推移のようなものもあり、投資するしない、は悩ましいものです。

先日も企業年金は株式への投資割合をアンダーウエイトするといった記事が出ていました。大学基金も駒沢大のデリバティブによる大型損失など泣きっ面に蜂のような出来事が多く、マスコミの暗示するところは、投資なんてとんでもない、額に汗たらして働くのが日本人の美徳、と言ったふうに読者が解釈しても仕方がないような書きぶりです。

先週の火曜日の日経新聞夕刊にも、REITが 「借入金で資産を膨らませる非常にリスクの大きい商品」 、という表現を用いていましたが、読んでいて、「おいおい 借入金で不動産を買ったらリスクが高いのだったら国の住宅政策を全否定するようなものじゃないか。REITで肝心なのは適正価格での物件購入(したがってスポンサーとの利益相反がない)と適正な資本・負債バランスであるという解説ができなければ、健全な投資家を失ってしまうぞ」 と感じてしまいました。

一流経済新聞社のそういった記事が出たときに、株式相場は急上昇するなど、もう外国人投資家のカモのような存在になり下がっています。NYダウは6週間連続上昇で、これは1937年以来だと。

ピンチの後にチャンスあり(もっとも相場の上昇は空売りの買戻しなどのテクニカルな要因だった可能性もある)。

 

運用担当者はたとえPPIPが投資チャンスと理解しても、彼を取り巻く人間関係が、サブプライム証券に投資ってなると、「馬鹿かね君は。こんなときに不良債権投資とは。株主に説明が出来ないじゃないか」 と言われちゃうんでしょうねえ。とても会社の役員会議で説得できる材料が乏しそう。オリックスのような金融会社は自社が緊急態になっていますし。

投資信託といっても、そのような投信の販売の勇気ある銀行・証券もなさそう(だと思う)。

 

ブラックロックは、米国住宅価格動向次第、との前置きをしながら、良ければリターンは20%(当然複利で年率)を超える見通し、との触れ込みのようです(悪ければ当然元本割れ)。IRR20%超なら、まあ村上ファンドやスティールパートナーズへの投資、あるいは買収ファンドあたりと同じようなパフォーマンス設定ですね。

日銀の元総裁、福井さんは確か3年弱で1000万円が倍以上になっていましたよね。

 

実際の投資開始時期は、5月4日のストレステスト発表、仮に資本が必要な銀行があった場合、6か月間の自己努力での調達猶予期間、だめな場合公的資金という手順がありますので、2010年以降かなあ。

 

国から、がっぽり 「確実に借入金が付与される」 こと、どうせ信託報酬を2%程度はとるんでしょうし、不良債権投資であることなどから勘案すると、正直30%は欲しいと思います。それとブラックロックはJPモルガンチェース銀行がベアスターンスを救済した場合、同社が保有する不良債権の管理処理を行っているはずです。この債権のこれまでの実績や具体的な処理方法の概要などを開示してほしいなあと思います。

投資担当者はレバレッジに対する不安がない(全て公的資金が面倒見てくれる)、というのは大きなアドバンテージなので、回収をがんばってほしいなあと思います。

また、20%程度だと、今から信越化学工業辺りに(株価約4700円として)投資して、毎年15%の値上がりがあった場合、4年後には8200円程度になりますので(これは同社株式の07/9月レベル)、このほうが手数料も低いし、配当も2%弱つきますし、投資対象もしっかり確実な先なので、PPIPへの投資メリットが小さくなります。複利20%だと5年後にはざっくり倍プラスアルファぐらいの価値になります。

(運用担当者も信越化学の株価が思ったように上昇しなかったら言い訳も立ちそうだが、PPIPへ投資してダメで、信越化学がうまく上昇したら、クビだろう)

しかし、機関投資家などは、運用報告などを聞いたりすることで、米国経済の最前線を知りながら、相応のリターンが得られるのなら、参加してもいいかもしれません。他の運用資産へのヒントが入手できるかも知れません。リターン以外の投資目的が得られることは投資メリットとして、ありえそうです。

そんなもん投資できるか、と言っている個人も、加入生保が運用する可能性がありますし(しかし、リターンがあっても配当は大したことないでしょうし、保険料も下がらないでしょう。失敗するとまた大変)、結局国民が何らかの形で参加していることになってしまうかもしれませんね。

 

どうせ何らかの形で国民が参加するのなら、いっそのこと、外貨準備金はドルなので、これを国債から少しだけでもPPIPに移してもいいかもしれません。確か外貨準備金で運用する米国債から発生する利息部分を今や死語となった、SWFにして運用しよう、というプランがありましたが、今こそそれを実施すべきだと感じました。

 

前回の不動産不況でおいしいところを皆外資に持っていかれて、地団駄を踏んだ借りを返そう。

個人で比較的小額で投資できるのなら、少し検討してみよう(ファンドが機能しない場合は、大して投資活動が行われないだけであると現時点では理解している。無理に高値をつかまないと)。

参加しないとリターンはゼロです。分散投資の一環としてならありかも。






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Last updated  2009/04/20 01:04:14 AM
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